| 第32回邱さん、曰く「40歳は経験の上に花咲く再出発の年」
 前に人間は変わることを好まない生き物であることを知ったと書きました。他人の行動を見てそう思ったのですが、
 私自身の行動を振り返ってみてもそうだなあ思います。
 40歳前の私は慣れた部署から離れることを決意しましたが、
 「決意」しなければならないほど、
 一つの部署に慣れ親しんでいたのですね。
 ただ、そうした状態なかでマンネリ現象に悩み、そこから脱却するために
 異質の部署に転出し、おかげでいろいろ新しいことを勉強しました。
 さて、その頃は思いもしなかったことですが、その12、3年後に、私は邱さんの作品エッセンス集を編集させていただき、
 『生きざまの探求』(平成8年)という本を編集させてもらいました。
 この本は「40歳で自分の天職を見定めるのが私のおすすめ人生コース」
 という文章から始まっています。
 ちょうどその頃、私はパソコンの操作を勉強し、
 近くに住んできる青年からパソコンを使っての提案の実際事例を
 教えてもらいました。
 そのお礼に、できたばかりの『生きざまの探求』をプレゼントしました。
 そうしたら、しばらくして、その青年が私の家を訪れ
 「実はボク、いただいた本に出ている40歳なんですけど、
 どうしても転職したいのです。
 どこから転職の世話してくれるところをご存知ないでしょうか」
 と頼まれたのです。
 私は自分自身がその年齢の頃、悩んだことを思い出しました。
 そしてあるパーティーで、ヘッド・ハンティング会社の社長さんと
 挨拶を交わしたことを思いだし、
 転職を希望する青年がいるので
 相談に乗ってほしいと頼みました。
 話がスムーズに運び、その青年は約1年後に
 本人の希望する会社に首尾よく転職を果たしました。
 それから2年ばかりたったある日、その青年に会い、
 その後どうですかと聞くと
 最近また会社を変えたとのことです。
 「仕事ができるところが色々見つかっていいですね。
 40歳まで勤めた会社を最初に出た頃と比べていかがですか」
 と聞くと
 「世の中を見る視界がグッと広がりました。良かったと思っています」
 と元気のいい返事が返ってきました。
 40歳前後は、なにか先が見えたような気になる年齢ですが、
 思いきって環境を変えることも意義あることだと思ったことでした。
 ちなみに、邱さんは『悪い世の中に生きる道』の中で
 「40歳は経験の上に花咲く再出発の年」と書いています。
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