第309回 (旧暦12月28日)
アシタバは若葉と成葉を使い分ける
昨日の日曜日、仙人は三浦半島の海岸へ
若菜摘みに行ってきました。
この季節に摘める海辺の食草は、
アシタバ、ボタンボウフウ、ハマカンゾウ、ハマダイコン、
ツルナ、ツワブキ、トウオオバコなどですが、
今日はアシタバの話を書くことにしましょう。
アシタバは、伊豆七島および房総半島から紀伊半島までの
太平洋側半島部と、九州北部(長崎県および福岡県)に分布する
セリ科の多年草で、三浦半島では葉山以南で見られます。
葉を摘んでも、翌日にはもう次の若葉が伸び出してくるほど
生長力が旺盛なところから「明日葉」の名が付けられたもので、
アシタグサ(鹹草)、ハチジョウソウ(八丈草)
などとも呼ばれますが、実際には、
生長は速いものの翌日新芽を出すことはありません。
近年では栽培が行われ、関東地方では市場にも
ふつうに出回るようになりましたが
自然に生えているものを利用するときは、
その用途に応じて摘み分けることが必要になってきます。
それはどういうことかといいますと、
アシタバの葉や茎にはルテオリンや
イソクエルチトリンなどが含まれ、
栄養価の高い食草であると同時に優れた薬草であり、
食用する場合には柔らかな若葉を、
薬用する場合には固い成葉を、と、使い分けるということです。
アシタバは常緑性のため、
同一の株に若葉と成葉とが同居しているのがふつうですが、
その簡単な見分け方は、葉の表面に光沢があるのが若葉、
光沢が消えているのが成葉です。
したがって、おひたしや和え物、
テンプラなどで食べるときは光沢のある若葉を、
そして、健康茶や薬酒、生薬などに利用するときは
光沢の消えた成葉を、それぞれ摘み分けて
用いるようにすればよろしい。
ちなみに、アシタバ茶やアシタバ酒には、
高血圧の予防、毛細血管の強化、
利尿、強精、緩下などのはたらきがあります。
アシタバ茶の作り方は、成葉(葉柄も)を適当な大きさに刻み、
2日ほど天日で半干しにしてから、
風通しのよい日陰でカラリと乾燥させ、
湿気のこない容器で保管しておき、
1日量20〜30gを300ccの水で煎じてお茶代わりに飲用します。
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アシタバ |
アシタバの花と実 |
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