蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第293回 (旧暦11月29日)
今日は「ユズ湯」の日です

今日は冬至ですね。
冬至というのは、北半球で太陽が最も低い軌道を通る日で、
そのため、夜の時間がもっとも長く、
昼間の時間がもっとも短い1日になります。
それでは、実際にどのくらい夜が長く、
昼間が短いかということになりますが、東京の場合を例にとると、
太陽の軌道がもっとも高い夏至の日と較べ、
4時間50分も夜が長く、昼間が短いことになるのです。

さて、冬至といえば、この日に
ユズ湯をたてて入浴する習慣がありますが、
これは、迫り来る本格的な冬に備え、
風邪など引かないようにユズ湯に入って身体を温める、
という意味で江戸時代中期以降に始まったものです。
日本人は世界一の風呂好き民族と言われるものの、
一般庶民が風呂に入れるようになったのは、
江戸時代も少し世情が落ち着き、
共同浴場である銭湯が誕生してからのことで、
しかも、その銭湯もはじめのころは現在のような温湯浴ではなく、
サウナ式の蒸気浴でした。

それからしばらく後になって、
今日のような温い湯に身体を浸す
温湯浴式の銭湯が生まれることになり、
おなじ銭湯でも、旧来の蒸気浴式のものを「風呂屋」、
そして新しくできた温湯浴式の銭湯のほうは「湯屋」と
呼び分けるようになったのです。

やがて、蒸気浴式の風呂屋が淘汰され
銭湯は湯屋の時代に移るのですが、
そうなると、同業者間のサービス競争が始まり、
季節ごとにいろいろな薬湯をたてて
客を誘い合うようになったわけです。
これが、庶民の間に薬湯が普及したおおまかな経緯で、
冬至の日のユズ湯の風習もこうした歴史のなかで生まれたものの
ひとつだと考えてさしつかえありません。
とはいっても、ユズの皮にはピネンやリモネン、シトラールなどの
精油成分やヘスペリジンなどが含まれ、
これを加えた湯に浴せば、血行を促進して身体を温め、
風邪の予防とともに、神経痛やリウマチなどの痛みを
和らげる効果がありますから、
冬至の日だけでなく、ユズ玉がある時期には
毎日でもユズ湯をたてて入浴することをすすめます。

ユズの実

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