蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第291回 (旧暦11月27日)
冬場には常緑樹と上手に付き合うのがコツ

樹木には、1年中葉を茂らせる常緑樹と、
秋から冬にかけて葉を落とし春まで休眠する落葉樹とがあります。
したがって、薬用であれ、観察であれ、
今の季節に樹木と付き合うならば
常緑樹を対象にするのがヨロシイ。

自然植生としての分布を日本列島に当てはめてみると、
おおまかにいえば、西日本は常緑樹林帯に、
東日本は落葉樹林帯に位置しますが、
沿岸部では東北地方両者とも人の手によって
多くの種類が移植されており、
東日本でも身近に見られる常緑樹はいくらでもあるはずです。
そこで今日は、冬場にちょっと楽しんでみたい常緑樹を
ひとつ紹介しておくことにしましょう。

それは、日本の照葉樹林を構成する主要樹木のひとつである
クスノキですが、仙人は、冬になると、毎年この葉枝を摘み、
クスノキ風呂やクスノキ酒に利用して楽しんでいます。
クスノキは、関東地方南部以西に分布する
クスノキ科の常緑高木で、巨木に育ちやすく
千葉県から鹿児島県にかけて20本以上のクスノキが
巨木として天然記念物に指定されていますが、
なかでも福岡県築城町本庄の大楠神社にある大クスは
景行天皇(記紀伝承による第12代天皇)の時代からあったと
伝えられる古木で、目通り幹囲が20mに及びます。

クスノキの材にはカンファー(樟脳)が含まれるため、
古くから樟脳を抽出して
防虫剤や強心剤として利用されてきましたが、
民間では夏に葉を焚いて蚊やりにも使われてきた歴史があります。
また、カンファー以外にも、シネオールやピネン、
サフロールなどの精油成分が含まれていますから、
薬湯や薬酒にすると、神経痛やリウマチ、
関節痛、肩こりなどのほか、しもやけや凍傷にもよろしい。

クスノキ風呂のたて方は、葉のついた枝を適当に刻んで
鍋に煮出し、その煮汁を風呂に入れ、
よくかきまわして入浴しますが、身体が温まるだけでなく、
さわやかな樟脳臭が漂ってストレス解消にも効用があります。
一方、クスノキ酒の作り方は、細枝を3cm長さ程度に刻み、
3日ほど陽に干してから、
酒1.8Lに対して1.2Lくらいをビンに入れ、
氷砂糖100gを加えて酒を注ぎ、
冷暗所で3か月間ほど寝かせますが、
漬け込んだ枝材は1週間後に取り出しておきます。

クスノキ

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