蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第283回 (旧暦11月19日)
そろそろクマが冬眠に入る季節です

七十二候でいうと、今日は「大雪」第二候の
「熊蟄穴(くま穴にちっす)」つまり、
熊が穴にこもって冬眠に入る時期に当たります。
そこで、たまにはクマの話でもしておくことにしましょうか。

今年は山の木の実(とくにブナ)が不作だったこともあって、
秋には食べ物を求めて里へ下りてきたクマが多かったようですが、
冬眠期に入ればクマ騒動もひとまず安心といったところです。
さて、クマと言えば、「出遭ったら死んだフリをしろ」という
有名すぎる巷説がありますが、本当のところはどうなのか、
みなさん知っているでしょうか。

実は、仙人もこれまで2度ほど
山中でクマと遭遇したことがあるものの、
いずれも50mほど離れた距離であったため、
「死んだ振り」を試すまでもなく友好的別離をしていますから、
まだ人体実験をしたことはありません。
そこで、遊び仲間のマタギの末裔に訊ねてみると、
どうやらこういうことであるらしいのです。
「死んだフリをしろ」というのは、
「クマは死んだものを食べない」という説を
根拠にして生まれたものらしいのですが、
実際にはクマもシカやカモシカ、ウマ、ウシなどの
死体を喰うことがあるため、
「死んだものを食べないから」という根拠は
ほとんどアテにならないのだそうです。

それに、クマの仲間にもときどきフザケたやつが居て、
死んだフリをしている人間を見つけると、
前足で脇の下をくすぐるのだそうで、
彼の村にも、むかし「死んだフリ」をしたところ、
脇の下をくすぐられ、タマラズ吹き出した途端に
頭を齧られたマタギがおり、それ以来、
「死んだフリ」はだれもしなくなったということでした。

まるで講談話のようですが、彼らには、
こうしたある種の大らかさがあって、
クマに関しては次のような話しまで今も語り伝えられているのです。

ある時、2人の村人が森の中で
いきなりクマと出遭ったときのことですが、
1人は慌てて近くの木によじ登って逃げ、
もう一人はその場に倒れて「死んだフリ」をしたのだそうです。
すると、くまは木に登った男の顔に一べつをくれてから、
死んだフリの男のそばに行き、
耳元に鼻先を押し当てて2,3度息を吹きつけると、
そのまま何もしないで森の中に姿を消してしまいました。
それを見て木から降りた男が、死んだフリの男に
「耳でも齧られたのか?」と訊くと、
死んだフリの男はニヤッと笑ってこう答えたというのです。

「友達を見捨てて自分ひとり
木の上に逃げるようなやつとは付き合わん方がいいぞ、
と言われちゃったよ……」


←前回記事へ 2003年12月12日(金) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ