蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第280回 (旧暦11月16日)
「漂着」のしくみと深刻な東京湾のゴミ

4、5日前に「寄り物」と「浜歩き」の話をしましたが、
仙人はこれを「漂着物ハンティング」と名付け、
海沿いの地へ出掛ける機会があると、
必ずその地の海岸を覗いて回り、
どんなものが漂着しているかを観察することにしています。

これまでの経験によれば、太平洋側であれ日本海側であれ、
直接外洋に面した海岸と、
陸地に挟まれて湾状になった海岸とでは、
漂着するものの種類に大きな違いがありますし、
外洋に面した同一の海岸でも、
季節によって漂着物の多い季節と少ない季節とがあることなどが
解ってきました。

これは、漂着物というものは、
日本近海の海流や気象の状況に
大きく左右されているからにほかなりません。
先ず、日本近海の海流を見ると、
フィリピン諸島近海で生まれた黒潮は、
琉球列島西側の東シナ海大陸棚に沿って北上し、
吐喝喇(トカラ)列島南端付近において、
日本本土太平洋側を流れる黒潮本流(日本海流)と、
日本海に流入する対馬海流とにわかれます。
つまり、南太平洋の島々やフィリピン諸島、
また台湾、中国などの岸を離れた漂流物は、
この黒潮に乗って日本列島近海に運ばれてくるということです。

一方、日本列島の北側からは、
千島列島に沿って南流する千島海流(親潮)と、
サハリン西沖から南西流するリマン海流とがあって、
このふたつの寒流によってロシア沿海州やサハリンなどの
北の国の漂着物が運ばれてきます。

こうして、南と北の海から運ばれてきた漂流物は、
日本海側では冬の到来とともに吹き付ける
大陸からの季節風によって、太平洋側では春の訪れを伴う
「春一番」に代表される小笠原方面からの強い南風によって、
それぞれ列島各地の岸辺にと吹き寄せられてくるのです。

これに対して、半島や島などに囲まれた内海や入り江、
湾内などは、あまり外洋性の強風の影響を受けませんから、
外洋からの漂流物は入り込みにくく、
たとえば東京湾の場合を例に例えると、
沿岸の岸辺に漂着してくるのはほとんどが
流入河川や臨海地から不法投棄された
都市の生活ゴミで占められており、
ときには使用済みの注射器などが
大量に流れ着いたりすることも珍しくはありません。

陸上のゴミ処理施設の建設に反対する人たちも、
おそらく、こうした漂着ゴミの実態は知らないでしょうから、
誰も取り上げようとしませんが、
湾内の漂着ゴミをひと目見れば、
現在の都市が抱えるゴミ問題の深刻さが
尋常一様なものでないことを
いやでも知らされることになるはずです。

  漂着物を探す仙人

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