蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第275回 (旧暦11月11日)
「浜歩き」を楽しんでみませんか?

今でこそサスガに廃れはしましたが、つい30年程前までは、
鎌倉でも海辺に住む人たちの間には、
海が荒れた翌朝に浜へ出て、打ち上げられた海藻などを拾って歩く
習慣が残っていたものでした。
拾い集める海藻は、季節によっても異なりますが、
冬であればワカメ、それ以外の季節ではアラメやカジメ、
ホンダワラ、テングサなどといったところなのでしょうか。
もちろん、こうして海藻を拾うのは食用にするためで、
1〜3月のワカメのシーズンだけは、
今でもそれを探して歩く人の姿が見られます。

実は、このように、渚に打ち寄せられた海藻などを拾い歩くのは、
鎌倉地方だけの風習ではなく、
全国どこの海辺でもごくごくふつうに行われていたことであり、
民俗学では、こうして浜辺に打ち寄せられる物のことを
「寄り物」と呼び、その「寄り物」を求めて
浜辺を歩きまわることを「浜歩き」と呼んでいるのです。
つまり、今からつい30年か40年前までの日本には、
潮流や風で運ばれた海藻を拾って菜や肥料に利用したり、
流木を拾い集めて燃料にするような生活が
ずっと続けられていたということです。

浜辺に流れ来る「寄り物」は、海藻や流木だけでなく、
動物ならば、貝類あり、魚類あり、鳥類あり、哺乳類あり、
また植物ならば、草本あり、木本あり、種子・果実あり、
その他、陶磁器あり、岩石あり、
缶・ビン・プラスチック容器あり、
はたまた、神札・仏像・卒塔婆あり、
玩具・民具・船具・漁具すべてありという
「ナンデモあり」の世界です。

しかも、こうして流れ寄るものは、
すべて所有者ナシの「拾った者勝ち」なのですから、
貧しかった農漁村の人たちにとっては、
海からのアリガタイ贈り物であったのでした。
したがって、こうした「浜歩き」の習慣を復活させるだけで、
それこそ先ごろ紹介した「1万円生活」など
ラクラク達成できるというものではありませんか。
まあ、それはともかく、
これからの季節に「浜歩き」で収穫できる
トッテオキの1品を紹介しておくことにしましょう。

それは、ソデイカという暖海性のイカで、
大きなものだと長さ1m、重さが20kgにも及び、
刺身にすれば100人分はまかなえるというシロモノです。
対馬海流に乗って日本海に入ったものは、
大陸からの寒冷な季節風にさらされ、
寒さの厳しい日には仮死状態となって浜辺に打ち寄せられるため、
日本海側の海辺では、これを拾ってゴチソウにする習慣が
古くから行われていましたから、
この冬日本海側へ出掛ける機会があれば、
是非早朝の浜を歩いてみるとヨロシイ。

浜を歩いて海藻を拾う

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