蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第274回 (旧暦11月10日)
整髪料にもなる咳止めの薬草

「名にしおはば 逢坂山のさねかずら
    人に知られで くるよしもがな」

これは、言わずと知れた『小倉百人一首』に含まれる
三条右大臣の歌ですが、ここに詠まれた「さねかずら」とは、
関東地方以西の山野に自生するマツブサ科のつる性常緑木本で、
球形の実がいくつもくっつき合って
和菓子の「鹿の子」」のような姿を呈するのを珍重し、
庭木として植栽する人も少なくありません。

枝を切ると、糊状の粘液を分泌するため
「トロロカズラ」の別名で呼ばれるほか、
この粘液を水に混ぜて武士が髷(まげ)を結うときの
整髪料として用いたところから
「ビナンカズラ(美男葛)」とも呼ばれてきましたから、
もしかすると、こちらの名前で憶えている人もあるかもしれません。

漢方では、この熟果を「南五味子(なんごみし)」と呼んで、
五味子(チョウセンゴミシ)の代用とし、
咳止めや滋養、強壮の薬としていますので、
これの実を見つけたら、
風邪の季節に備えて摘んでおくことをすすめます。
ちなみに、仙人の家の庭では
どうやら真っ赤に熟れ始めてきましたから、
今がちょうど摘みごろのはずです。

咳止めに用いるときは、乾燥果10g(1日量)を400ccの水で煎じ、
3回に分けて服用しますが、
子供の場合には、煎液を漉し取り、
砂糖を加えてもう一度火にかけて温めてやると飲みやすくなります
(ただし子供には半量でよい)。

また、つる茎や葉を刻んで水に浸しておくと、
粘液(樹液)が浸出して糊状になりますが、
ひびやあかぎれ、荒肌、乾燥肌などに
この液をすり込むと効果がありますし、
洗髪後の髪に塗ると、しっとりとした艶のある髪になりますから、
果実と一緒に茎や葉のほうも利用することです。

なお、仙人の場合は、果実を乾燥させるのがメンドウクサイため、
生の熟果を果実酒にしますが、
もちろん、このサネカズラ酒も咳止めに効果があります。
作り方は、酒1.8Lに対して果実0.6〜0.8Lをビンに入れ、
氷砂糖100gを加えてホワイトリカーを注ぎ、
密封して3か月冷暗所で熟成を待てばヨロシイ。

サネカズラ

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