蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第273回 (旧暦11月9日)
古くて新しい風邪グスリ

現在の日本人は、ちょっと風邪をひくと
薬屋でカプセルや錠剤の風邪薬を買って飲みますが、
ヨーロッパではあまりこうした傾向は見られません。
それでは、風邪をひいたとき、彼らはどうするかといえば、
ハーブのひとつであるカモミール・ティーを飲むのです。

カモミールは、ヨーロッパ大陸原産のキク科の2年草で、
紀元前2000年の古代バビロニアの時代から利用されてきた
歴史の古い薬草で、原種の野生カモミールのほか
ジャーマン種とローマン種とがあります。

近年のハーブ・ブーム以来、
日本でもその名が知られるようになり、
現在では各地のハーブ・ガーデンや庭などで
ふつうに見られるようになってきましたが、
実はこのカモミールという薬草は、
すでに江戸時代にオランダ人やポルトガル人によって移入され、
「カミツレ」という名で漢方の生薬として利用されてきたのです。
つまり、和名の「カミツレ」は、
オランダ名の「カツルレ」が訛ったもので、
「カモミール」は英名というわけですが、
300年も前に移入されて実際に使われていたにもかかわらず、
人口に膾炙しなかったものが、英名になって再移入されると同時に
もてはやされるようになったということは、
植物の世界にも現代日本人の英米文化偏重の傾向が
如実に顕れているのかもしれません。

さて、このカミツレですが、
テルペンアルコールやカマズレンからなる精油と
フラボノイド類を含み、発汗、解熱、消炎の作用があって、
風邪やのどの痛み、神経痛・リウマチ、胃けいれん、胃腸炎などに
乾燥花5〜10g(1日量)を500cc、の水で煎じ、
3回に分けて服用するほか、
皮ふや粘膜の炎症、湿疹日焼けなどに煎液で湿布する、
などの療法があります。

ちなみに、風邪のとき飲むカモミール・ティーは、
乾燥花小さじ1杯をポットに入れ、
熱湯1カップを注いで3分間蒸らしてから飲みますが、
のどの痛みを伴うときは蜂蜜を小さじ1杯加えてやるとよろしい。
また、風邪や皮膚の炎症、リウマチ・神経痛などのときに、
乾燥花をバスバッグに詰めて(布袋でもよい)
浴湯料として利用することもできますから、
両者を併用するとさらに効果が高まります。

カミツレ(カモミール)

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