蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第257回 (旧暦10月19日)
「食糧自給率」を意識させられる「1万円生活」

この2,3回、終戦前夜の日本は極度の食糧不足に陥り、
全国民が飢餓の恐怖にさらされていたことを書いてきましたが、
その最大の原因は、対戦国によって
日本近海の制海権と制空権を奪われ、
これまで外地から運び込まれていた
コメや砂糖などの主要食糧の供給が
ほとんどゼロになったからでした。
つまり、戦国時代の戦法でいえば、篭城を余儀なくされ、
兵糧攻めにされたということです。

ちなみに、当時のコメの国内総消費量は1万2000トンですが、
そのうち国内総生産量が900万トンで、
残りの300万トンを外地産に頼っていたのです。
この300万トンのコメを運び込むためには
1万トンの船が延べ300隻必要になる計算で、
そのほとんどがストップしたわけですから、
たちまち総消費量の4分の1が
不足をきたすことになったのでした。

また、砂糖にいたっては、
当時でもそのほとんどを外地産に依存していたため、
船舶の航行が止まるとともに底をつき、昭和19年8月1日以降、
家庭用の配給が停止されてしまっています。
加えて、大豆や小麦粉などの主要食品も
多くを輸入に頼っていましたから、
おそらく当時の食糧自給率は
確実に50%を切っていたに違いありません。

一方、ひるがえって現在の食糧自給率を見ると、
多めに勘定しても60%を切る程度と推定されますから、
ひとたび戦争に巻き込まれたり、
大規模な経済変動やテロ、災害などに見舞われれば、
瞬時に深刻な食糧不足に陥ることは明らかだと言えましょう。

実は、仙人も最初は一種のゲーム感覚で
「1万円生活」を始めてみたのですが、
実際に始めてみると、この「1万円生活」というものは、
予算的な制約から、いやでも食糧自給率50%程度の状況を
意識させられることに気が付いたのです。

そうなると、テレビの「1万円生活」が
高い視聴率を挙げているというのは、
それを見る人たちのなかにも、
こうした思いを抱きながら見ている人が
きっといるのではないでしょうか。
これを機に、みなさんも
食糧自給率ということについて考えてみませんか。


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