第252回 (旧暦10月14日)
「1万円生活」に活かしたい「代用しょうゆ」
一昨日は、終戦直後に代用食として用いられた
「ドングリうどん」の話をしましたが、
この時代は、コメやムギだけでなく、
塩や味噌、しょうゆといった調味料まで
わずかな配給に依存せねばならない状態でした。
ちなみに、終戦直前ころの1人あたり1日分の配給量は、
塩が小さじ1杯弱、味噌が小さじ2杯半、
しょうゆが大さじ1杯半で、
砂糖にいたってはその前から配給もストップされており、
全く手に入らないほどだったのです。
しかも、味噌やしょうゆは、
原料の大豆そのものが欠乏していましたから、
配給されるそれは劣悪な品質で、
とてもマトモな味噌やしょうゆとは言えないようなシロモノでした。
そのため、少しでも品質を改良したり、
量的な不足を補うためにさまざまな知恵が絞られ、
ついには「代用しょうゆ」「代用砂糖」といったものまでが
登場することになったのです。
そこで今日は、そのころ考案された「代用しょうゆ」について
紹介しておくことにしますが、仙人が試してみたところ、
なかなかのスグレモノであることが判ったため、
仙人流に少し改良して早速「1万円生活」に取り入れてみました。
原案では、
「コンブ、ワカメ、ヒジキなどの海藻類を
濃い塩水で気長に煮込むと、
色も味もしょうゆに近いものができる」となっていますが、
仙人のテストによれば、
コンブやワカメ、ヒジキよりもカジメやアラメのほうが、
そして、「濃い塩水」よりも「海水」で煮込んだほうが、
色も味もさらにしょうゆらしくなるものです。
カジメについては、
だいぶ前に(第42回)紹介したことがありますが、
カリウム、ヨード、アルギン酸を多く含み、
5分も煮るとヨードが溶出してたちまち海水が
「しょうゆ色」に染まります。
なお、この海藻を煮るときに、
軽く炒った大豆をひとつかみ加えて一緒に煮ると、
香りも風味もホンモノのしょうゆらしくなりますから、
一度試してみませんか。
出来上がった「カジメしょうゆ」は、布巾などで漉し絞り、
「しょうゆ」の空ビンに入れておくと、
さらに「ホンモノのしょうゆ」に近くなりますゾ。
また、最近ではコンブやワカメを買うと、
ショウユより高くついてしまうのに対し、
カジメやアラメならいくらでもタダで拾えますから、
その点でも仙人流のほうが安上がりというものです。
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これがカジメ |
海が荒れた翌日にはカジメが大量に打ち上げられる
(鎌倉海岸) |
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