第245回 (旧暦10月7日)
「1万円生活」こそダシの材料にこだわりたい
「1万円生活」では、予算上の都合で、
使用する食材の「質」を制限せざるを得ないことも
少なくありませんから、それを味でカバーする意味でも
ダシの材料はできるだけ良いものを使うことが
望ましいといえるでしょう。
日本料理のダシの材料は、
昆布、カツオ節、乾シイタケをもって御三家としますが
これらの「ダシの素」も、日頃の心掛けと工夫によって、
あまりお金をかけることなく
上質のものを調達することができるものです。
ちなみに仙人の場合には、
昆布については北海道の友人と物々交換で取り寄せていますが、
乾シイタケとカツオ節はすべて自家製で間に合わせています。
まず乾シイタケについていえば、
鎌倉の山でも春と秋に野生のシイタケが結構採れますから、
これを天日に干して保管しておくのですが、
実をいうと、つい一昨日も自転車で散策に出た折に、
銭洗弁天の裏山で小振りのお盆ほどある立派なシイタケを
7枚見つけ、いま乾シイタケにしているところです。
一方、カツオ節のほうは、もう15年ばかり前から
毎年6月に5〜6尾のカツオだと
本節と亀節を合わせて20本近い節が作れるため、
これで1年分のカツオ節が間に合うのです。
カツオ節作りというのは、煮熟→焙乾→日乾→カビ付け、
という工程を合わせると、完成まで5か月近くを要しますが、
燻製用のスモーカーがあれば
誰でも家庭で作ることができますから、
ホンモノの味にこだわりたい人はゼヒ挑戦してみるとよろしい。
自分で作った新しいカツオ節で正月の雑煮のダシを取るなんて、
ちょっとオツなものですゼ。
また、この御三家以外にも、前に紹介したことのある
アシグロタケだとか、イワナやアユの焼枯らしだとかいった
上等のダシの素がいろいろありますから、
常日頃から心掛けてこういうものを「採集」しておくと、
「1万円生活」でも「大地震」でも、
オイシイ食事にアブレることはないのです。
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仙人手作りのカツオ |
イワナの焼き枯らし |
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