第244回 (旧暦10月6日)
海辺の松林はキノコ採りの穴場です
10月も明日1日を残すだけとなり、
晩秋型のいくつかの種類を除いて
山のキノコはそろそろ終わりの季節となりました。
今年の秋は、9月に雨が少なかったせいか
キノコも木の実もおしなべて不作で、
あまり「いい目」遭えなかった人が多かったに違いありません。
そこで、最後に「いい目」に遭いたい人は「山」ではなく
「海」へ出掛けてみることをすすめます。
それは、海辺という環境は、山地と較べて気温が高く、
11月中旬くらいまでキノコが発生するのに加え、
ほとんどの人はキノコは山のものだと思い込んでいて、
海辺にキノコを採りに行くような人はごくごく少数であるからです。
もちろん、海辺とは言っても、ただの砂浜ではなく、
防風林・防砂林などの松林のことですが、
この海辺のクロマツ林には、ハツタケ、アカハツ、シモコシ、
ショウロをはじめとして、クロカワ、アミタケ、オウギタケ、
クギタケ、ヌメリイグチなど10指に余るキノコが発生しますから、
「えっ、ウッソー」などと言わないで一度覗いてみることです。
ちなみに、仙人の住む鎌倉近辺でも、
江ノ島から茅ヶ崎、平塚にかけての海岸線には
防風・防砂林の松林が続き、仙人も何年か前までは
ここでハツタケなどを結構採ったものでした。
ところが、この湘南の松林は、
最近、林床に下草がはびこって地面を被うようになり、
それ以来、キノコの発生がトンと少なくなってしまったようです。
粉のように、キノコという生物は、
思いのほか風通しの良い所が好きなので、海辺の松林の場合でも、
林床の表面が松の落ち葉で覆われた
風通しの良い林を選ぶことが一番のコツとなります。
仙人が自分の足で歩いた限りでは、美保の松原とか、
玄界灘に面した虹の松原(九州)のように
観光名所的な松林のほうが林床の管理が行き届いていて、
キノコの発生には適しているように思いますから、
こういうところへ観光に出かけた折に松林を覗いてみるのも
ひとつのテかもしれません。
また、これからの季節の海辺では、
アルバアキグミ、ハマゴウ、エビヅル、マルバシャリンバイなど、
果実酒の材料となる木の実もいろいろ採れるため、
小春日和の1日を海辺で過ごすことをすすめます。
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シモコシ |
アカハツ |
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