蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第243回 (旧暦10月5日)
兵糧食は宇宙食のルーツです

前回では仙人が「1万円生活」の昼食に戦国時代の兵糧である
「糒(ほしいい)」を活用した話し書きましたが、
糒に限らず、兵糧食というものは
災害時の非常食やアウトドアの行動食などとしても
ピッタリの食糧ですから、今日も「兵糧食」について
もう少し補足しておくことにしましょう。

兵糧食は、保存性や携行性、簡便性などにすぐれるとともに、
カロリーが高く、栄養的にも
バランスがとれた食べ物でなければならないばかりでなく、
何よりも、戦争という国と国との闘いの最前線で
用いられる食糧ですから、その適否優劣が
国の存亡に直結しかねない重い使命を背負わされているものです。

そのため、古今東西を問わず、兵糧食に関する研究は
もっとも重要な国家事業のひとつであり、その研究と開発には、
常にその時代の最先端技術が投入されてきたといっても
過言ではありません。
たとえば、今日ではありふれた日常食品となっている
「缶詰」も、元をただせば、ナポレオンがエジプト遠征の折に
創出したレッキとした兵糧食であったのです。
つまり、エジプトという気温の高い地へ進軍し、
そこで有利な戦局を展開するためには大軍の将兵が口にする
膨大な量の食料を高温による腐敗から防ぐことが
何よりも先決の課題であったということです。

また、日本の戦国時代にも、従来の糒よりも
高カロリーで有利な兵糧を作ろうと、
多くの戦略家たちがさまざまな加工兵糧食の産出に取り組んでおり、
かの大久保彦左衛門なども、
小麦粉とトロロイモを練り合わせたものに
カツオ節、塩、砂糖で味を調え、これを蒸してから
一口大に切った携行用兵糧(腰兵糧)を開発し、
自著の『三河物語』のなかでこれを紹介していますし、
われわれが現在「菓子」として食べている「おこし」なども、
元来は兵糧食として考案されたもののひとつであったのです。

こうした研鑚や試行錯誤を重ねて創出されてきた
さまざまな兵糧食は、やがて近世になると、
極地探検やヒマラヤ遠征、オリンピック遠征などの
平和分野にも適用されるようになり、
最近では最先端の携行食である「宇宙食」にも、
その基本的な技術や考えが受け継がれていくことになってきました。

したがって、この兵糧食の知恵を、
「1万円生活」というお遊びゲームにとどまらず、
地震を初めとする災害時の非常食や
アウトドアでの携帯食などとして、
もっと積極的に活用することを考えてみようではありませんか。

「おこし」のルーツは兵糧食だった

ナポレオンが発明した缶詰め

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