第242回 (旧暦10月4日)
「1万円生活」の仙人流「昼食」
「1万円生活」を始めたとはいっても、
日常生活そのものは何も変わるわけではなく、
仙人も1週間に1度くらいは東京へ出掛けたり、
それ以外にも日中に外出する日がしばしばあったりしますから、
このようなときには昼食を家の外で摂らなければなりません。
ところが、その昼食を、今までのように食べ物屋に入って
外食をしたのではトテモ1か月1万円などでは過ごせないことに
気が付きました。
そのため、最初はふつうに弁当を作って持って出たのですが、
東京のオフィス街などには
屋外で落ち着いて弁当が食べられるような場所が
ほとんど見当たらないのです。
ならば、いっそのこと、もう少し「1万円生活」にふさわしい
昼食を探してみようではないか、と考えて、
フッと思い当たったのは戦国時代の兵糧(ひょうろう)のことです。
兵糧というのは、戦場におもむく将兵のひとりひとりが携行する
簡易食物のことで戦場という場所がら、単なる弁当というよりも、
状況に応じて行動食、非常食としての役割りも兼ねたものでした。
わが国における兵糧の嚆矢(こうし)は
カツオ節であったとする説もありますが、
上古の時代から戦国時代の終末にかけて実際に重用されていたのは
「糒(ほしいい)」で、すでに律令制の基本法典となった
「大宝律令」(701年)にも、
「「兵士1人当たり糒6斗、塩2升を備えて軍団に貯えよ」と
記されています。
この糒というのは、コメを煮るか蒸すかしてから
天日で乾燥させた物で「干飯」「乾飯」などとも書かれるほか
「餉(かれいい)」と呼ばれることもありますが、
長期保存ができるうえに携帯性にもすぐれるため、
戦国の世が終わった後も長旅の携行食などとして
利用されてきた歴史があります。
食べ方は、お湯か水に浸し、
軟らかく戻して食べるのが通例ですが、
戦闘中や歩行中などは、そのまま口に入れ
ポリポリと噛んで食べることも可能です。
また、糒は、食べ残しのご飯を利用して作ることもできますから、
「節約の技」が重要なカギとなる「1万円生活」の昼食には、
その意味でもピッタリの食物だといえましょう。
そこで仙人は、早速この糒を作ったのですが、
いくら「1万円生活」とはいえ、
これだけをポリポリやるのはチト味気がありませんから、
テルモスに入れたお茶と、
永谷園の「梅茶漬」「タラコ茶漬」を1袋ずつ携行し、
2種類のお茶漬にして食べたところ、
なかなかイケることが判明しました。
どうやら、工夫次第でまだまだ上手な利用法もありそうですし、
この機会に地震などの折の非常食として
もう少し作っておこうと考えています。
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