蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第240回 (旧暦10月2日)
「命知らず」のヤマブドウの皮

ヤマブドウの実の季節はそろそろ終わりを迎えましたが、
ヤマブドウといえば、いま女性達の間で
これのつる皮で編んだオシャレ籠が人気を集めているようです。

ヤマブドウのつる皮は大変丈夫で、
仙人もこれで編んだハケゴを10年以上も使っていますが、
まだどこも傷んだところがありません。
ハケゴというのは山菜採りやキノコ採りなどの折に使う
腰籠のことで、現在仙人が使っているものは、
山形県の月山頂上で山小屋を営んでいる
友人の芳賀竹志さんから貰ったものですが、
彼のお父さんが自分で編んで生前使っていたものだそうですから、
仙人の手に渡ってからの年月を合わせると、
もう30年近くも使用に耐えてきたことになるのです。

籠などを編むつる茎としては、
アケビやムベ、フジ、クズなども使われるものの、
これらのつるは「水濡れに弱い」という難点があるために、
アウトドアでも使用にはほとんど用をなしません。
これに対して、ヤマブドウのつる皮は、
水を含むとネバリや強度が増す性質があるために、
アウトドアで乱雑に使うにはまさにうってつけの素材です。

ちなみに、福島県の桧枝岐(ひのえまた)地方一帯には、
山漁師たちの間で「命知らずのワラジ」と呼ばれていた
伝説的なワラジがあるのですが、実は、
その正体はヤマブドウのつる皮で編んだワラジだったのです。
そのワラジが、なぜ「命知らず」と呼ばれていたかといえば、
稲ワラで編んだ普通のワラジは、山や谷を跋渉すると
1日に何足も履き潰してしまうほど弱いのに対し、
ヤマブドウのつる皮で編んだワラジは、
山や谷を何日駆け廻っても1足で足りるほど
寿命の永い丈夫なワラジであったからでした。

仙人も、この命知らずのワラジを、
秋田県のマタギの爺さんに頼んで
作ってもらったことがありますが、その折、当の爺さんから、
ヤマブドウのつる皮を編物に使うときは
8月の盆過ぎから半月くらいの間につる茎を伐ると
一番丈夫な皮が採れるのだと教えられたものです。

女性がぶら下げているヤマブドウ製の小さな籠が
4万円も5万円もしているのは、
もしかすると、こうした事情があるのかもしれません。

ヤマブドウの皮で編んだハケゴ

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