第238回 (旧暦9月29日)
現在の鎌倉や東京は縄文時代より採集生活に適しています
「1万円生活」も今日で10日目になりますが、考えてみると、
あらためて「1万円生活」などと言わなくとも、
毎日の散歩の途次に食草や木の実、キノコなどを見つけて
摘んでいたこれまで仙人の生活と
ほとんど変わりがないことに気が付きました。
それでもこれまでは、とても「1か月1万円」どころで
収まっていなかったのは、かなりムダな物を買い込んだり、
食べたりしていたのに違いありません。
ひょっとすると、「1万円生活」を試してみることに
意味があるとすれば、2万円、3万円を
1万円に節約することよりも、
こうしたことに気が付くことにあるのかもしれません。
おそらく皆さんの家庭でもそうしたことがあると思いますので、
その意味では、あまり気張らずにゲーム感覚で
「1万円生活」にチャレンジしてみるのも
決して悪くはないようです。
さて、今日は、昨日約束したように
これから初冬にかけて利用できる液果につい
て紹介しておくことにしましょう。
まず、仙人が自転車で走れる範囲であれば、
マルバアキグミ、エビヅル、イチイ、イヌマキ、ザクロ、
ガマズミ、イヌビワ、カキ、ムクノキなどといったところですが、
山里の人であれば、アキグミ、マツブサ、サルナシ、
ミヤママタタビ、ヤマブドウ、クサボケなどが
まだ間に合うかもしれません。
これらの液果は、もちろん生食することもできますし、
ジャムや果実酒などに利用することもできますから、
「1万円生活」とは関係なく
晩秋の野の倖として楽しんでみることをすすめます。
ところで、液果・堅果にかかわらず、
縄文や弥生の時代には彼らが居住する地域の自然植生の範囲でしか
木の実も利用できなかったのに対し、
現代では、公園や寺社の境内、街路樹、民家の庭などに、
自然植生とは無関係にいろいろな樹木が植栽され、
本来ならその地域にないはずの木の実まで
手軽に利用できるようになっていることです。
たとえば、仙人が鎌倉で入手できるイチイなどがその好例で、
元来は深山地に生えるものが
庭木や生垣として植えられるようになったものです。
ということは、木の実ひとつを例にとっても、
縄文や弥生の時代と較べると、
今の鎌倉や東京のほうがよほど恵まれていて、
「1万円生活」どころか
「採集的自給自足生活」すら可能であると言えなくもないのですナ。
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エビヅルの実 |
マルバアキグミの実 |
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