第235回 (旧暦9月26日)
「1万円生活」に生かしたい縄文の知恵
「1か月1万円生活」も今日で1週間目を迎えます。
食費に要した費用などは後日詳しく報告することとして、
「仙人流1万円生活」の知恵をもう少し続けることにしましょう。
さて、都市生活というのは、二次産業・三次産業に
従事して得た収入で生活を営む完全消費型経済ですから、
食費と削減するとなると、一次産業的ないしはそれ以前の
採集経済的手法を組み込むことも
選択肢のひとつとなってくるでしょう。
つまり、弥生人や縄文人の知恵に学ぶことも
必要だということです。
縄文食といえば、現代人の感覚では
「食べにくいもの」「マズイもの」だと思われるかもしれませんが、
彼らの時代と現代とで決定的に異なることは、
今は調理技術も格段に進歩しており、
同じ素材でも彼らより何倍も
オイシク上手に食べられるということです。
しかも、たとえば縄文食を代表する
木の実類ひとつを例にとっても、イチョウやビワなどのように
彼らの時代以降に日本列島に渡来して、
容易に利用できる素材がたくさん増え、
その点でも彼らの時代より
ウンと有利になっているといわなければなりません。
これに対して、現代人の弱点は、すべての食糧を生産から流通まで
他人まかせにしていたり、主要な食物の多くを
人工的な栽培や養殖という生産手段に頼っているために、
自然食材についての知識や知恵が失われ、
その調達法そのものを忘れてしまったことにあります。
しかし、心配ご無用。こういうことこそ
縄文の時代から連綿と継承されてきた
先人たちの知恵を思い起こせばいいのです。
たとえば縄文人の主要な糧(かて)のひとつであり、
現代でも高栄養食品として評価の高いクルミですが、
これなども、だれでも簡単に手に入れられる方法があるのですナ。
日本在来のクルミ(オニグルミ)は、
主として山地の谷ぎわに多いため、
ここへ採りに行ってもいいのですが、
クルミは肉の厚い果皮にくるまれていて、
食べる状態にするまでに少々手間がかかります。
そこで、わが先人たちはどこでクルミを調達していたかといえば、
実は、河口に近い海岸でこれを拾い集めていたのです。
つまり、谷川に落下したクルミの実は、
川を流れて運ばれているのですが、
この間に水流や川底の石にもまれて
厚い果皮がきれいに洗い落とされ、
店先に並ぶような姿になって
浜辺に打ち寄せられるというわけです。
ちなみに、鎌倉の花でも
これからクルミが上がる季節を迎えますが、
当地の古老の話では、今から40年ほど前までは
浜でクルミを拾う習慣が残っていたということです。
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海辺で拾ったクルミ |
テウチグルミ |
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