蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第234回 (旧暦9月25日)
シルクロードで運ばれた駆虫薬

鎌倉には庭にザクロを植えている家が思いのほか多く、
いま、そのザクロの木に真っ紅に熟れた大きな実が
たくさんぶら下がっているのが目に付きます。

このザクロは、西アジア原産のザクロ科の落葉小高木で、
日本には平安時代に中国から移入されたものです。
漢名では「安石榴」もしくは「石榴」といいますが、
これは漢の武帝の世(紀元前2世紀)に
安石国(ペルシャ)からもたらされたことに由来します。
つまり、ザクロという植物はシルクロードを通って
世界に広まったというわけです。
もっとも、日本に渡来したころの原種のザクロは、
酸味がウンと強かったため、食用ではなく、
もっぱら薬用として樹皮が利用されていたようです。

ザクロの樹皮や根皮にはアルカロイドのペレチエリンや
イソペレチエリンなどが含まれ、
すぐれた駆虫作用があるために
駆虫薬として重用されたわけですが、
衛生管理が不備であった時代には、
「虫下し」の薬はきわめて大切な薬であったに違いありません。

また、これらの成分には殺菌作用もあるため、
赤痢などの細菌性下痢に
樹皮や根皮の煎じ液を服用する民間療法もあり、
太平洋戦争の折に東南アジアに進駐した日本兵が
赤痢などに悩まされたとき、
ザクロの樹皮を煎じて飲んで
多くの人の生命が助かったという話もあります。

一方、種子を包んでいる多汁質の外種皮(食べる部分)には、
クエン酸やリンゴ酸などの有機酸が含まれていて、
昔は金属製の鏡を磨くのに使われたそうです。
近年、青果店などに並ぶのは大型のアメリカザクロで、
糖度も高く、そのまま食べてもウマイのですが、
仙人は庭に実る在来のザクロで果実種を作っています。

作り方は、実を2つに割って果皮ごと漬ける方法と、
果皮を外し、外種子だけを漬ける方法とがありますが、
外種子のみの場合にはルビー色の
美しいリキュールに仕上がりますので、
できるだけ後者の方法で漬け込むことをすすめます。
ちなみにざくろ主の効用は、新陳代謝の促進、健胃整腸、
のどの痛みのほか、美容にもヨロシイ。

ザクロの実

←前回記事へ 2003年10月20日(月) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ