第232回 (旧暦9月22日)
仙人流・アケビ料理
10月11日、「キノコ狩りツアー」で
箱根・丸太の森へ行ったときのことですが、
このコラムを見て参加された高橋さん一家が
大きなアケビの実(ミツバアケビ)を見つけました。
その折、アケビの食べ方を訊ねられ、
いくつかの方法を教えましたが、
どうやら近ごろはアケビの実の食べ方を
知らない人が多いようなので、
今日は仙人流のアケビ料理法を伝授しておくことにしましょう。
アケビの実は、熟れてくると自然に裂開し、
中からトロリとしたゼリー状の果肉の塊が姿を表わします。
この果肉には、ほのかな甘みがあって、
仙人が子供の時分には、仲間たちと一緒にこれを口に含み、
果肉に含まれている小さな種子を互いに尖らせた口先から
プップップッと吹き出し合って遊んだものです。
一方、この果肉を包んでいる肉厚の果皮のほうは、
噛んでみると苦味を感じるため、
一般にはこれを食べる習慣はありません。
ところがドッコイ。実は仙人に言わせれば、
アケビの実の身上は甘味のある果肉より、
むしろ苦味のある果皮のほうにこそあるのです。
ただし、生で食べると苦いだけで、
ウマくもクソもありませんから、
そのままカブリついたりはしないほうがヨロシイ。
では、どうやって食べるとウマイか、といえば、
ともかく高温の油で調理することだと憶えておいてください。
これは、アクの強い山菜でもテンプラや油炒めなどにするときには
アク抜きしないでそのまま使えるのと同じことで、
アケビの果皮に含まれている苦味成分も
高温の油によって緩和され、ウンと食べやすくなるのです。
たとえば、仙人オススメの食べ方は「フライド・アケビ」。
まず、アケビの皮を1cmほどの幅で縦長に切り、
これを160〜170度の油で何も着けずに素揚げして、
パラリと塩を振って食べますが、
ちょうどフライド・ポテトのような食感で
ビールや酒のつまみにもピッタリです。
また、開いたアケビの果皮を釜に見立て、
これにキノコとひき肉などを混ぜ合わせた具を詰めて
タコ糸で結び止め、フライパンで蒸し焼きにするか、
そのまま油で揚げると、またひと味違った逸品になります。
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アケビの実 |
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