蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第223回 (旧暦9月2日)
咲き残りの花

今年は9月に入ってから気温の高い日が続いたせいか、
自然界では動物も植物も
いつもの年とは少し様子が異なっているようで、
仙人の家の庭ではまだときどきツクツクホウシが鳴きますし、
近所の山では、例年だともうとっくに終わっている花が
まだ咲き残っている姿が見られます。

つい昨日も、散歩の途中で高い梢の上に
クサギの白い花がいくつも残っているのを見かけました。
クサギは、全国に分布するクマツヅラ科の落葉小高木で、
湘南地方一帯では、例年なら7月下旬〜9月初旬が花の季節です。
盛夏には、クロアゲハ、モンキアゲハ、アナガアゲハなどの
黒いアゲハチョウがこの花の蜜を吸いに飛来していますから、
小学生の頃からチョウを追いかけていた仙人には
馴染みの深い樹木のひとつです。

葉っぱに特有の臭気があるために「クサギ(臭木)」と
呼ばれるようになったのですが、
春の若葉は、塩ひとつまみ加えた熱湯で茹で、
水にさらしてアクを抜くと食用になり、
寺の精進料理ではこれをひたし物に用います。
一方、晩秋に青碧色に熟す実は、稲わらの灰汁で煮つめ、
浅青色(はなだ色)に布を染める染料として
古くから利用されてきた歴史があります。

また、クサギの葉には、殺菌作用のある
クレロデンドリンが含まれていて、
リウマチや高血圧に乾燥葉10〜15g(1日量)を
400ccの水で3分の1量に煎じて分服したり、
下痢止めに葉の青汁(1回量盃1杯)を飲用したりするほか、
痔疾やハレモノ、外傷に葉を煮出した液で患部を洗浄する、など、
外用、内用を合わせさまざまな療法が民間で行われてきました。

ちなみに、江戸時代の宝暦13年(1763年)に刊行された
『物類品(ぶつるいひんしつ)』という書には、
子供の癇症にクサギの材に巣食う虫(蛾の幼虫)を
焼いて食べさせるとよい、と書かれていますが、
実際に九州地方の一部では比較的最近まで、
これを行う習慣が残っていたようです。

クサギの花

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