蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第222回 (旧暦9月1日)
信奉者の多いノブドウの薬効

「あれっ、ホントウだ。痛みが消えた!」
Sさんは、フシギそうな表情でそういいながら、
Tさんが手にしている小さな容器を見つめました……。
これは、9月20日に行った「キノコ狩りツアー」の
帰りのバスの中での一景ですが、どういうことかといいますと、
何かで指先を傷つけたSさんに、
ポケットから小さなポリ製の容器を取り出したTさんが、
「これをつけると痛みがとれますよ」と言って
Sさんの傷口にシュッとひと吹きしたのです。

どうやらTさんは、どこに行くにも
その小さな容器をポケットに忍ばせているらしく、
仙人が中身の正体を訊ねると、
ノブドウをホワイトリカーに漬け込んだものでした。
ノブドウは、ブドウ科のツル性木本で
エビヅルとよく似ていますが、
その実は青や紅紫などに熟して美しいものの、
果汁が少ないうえに味が悪くて食べられません。
そのため、イヌブドウ、ウシブドウ、ウマブドウ、イシブドウ、
カラスブドウなどと不名誉な名前で呼ばれることが多いのです。

また、中国にも日本のと同じノブドウがあり、
漢名ではこれのことを「蛇葡萄(じゃぶどう)」といいます。
ところが、こうした不名誉な呼称を冠せられながら、
ノブドウは古くから身近な薬草として結構重宝されてきたのです。
ノブドウの薬理成分はまだ精査されていませんが、
各地で広く行われている用法は、関節痛やうち身、ネンザなどに、
乾燥した根を煎じて服用したり、
全草をホワイトリカーに漬け込んだ「ノブドウ酒」で
患部を湿布したりすることと、
目の充血やカスミに根の煎液で洗顔することなどが主なものです。

しかし、ノブドウの信奉者は以外にたくさん居るようで、
先のTさんのように切り傷から虫刺されまで
万能の外用薬として利用している人も少なくありませんし、
なかには糖尿病や高血圧、不整脈なども
これで治した人がいるようですから、
これらの症状に心当たりのある人は
一度試してみる価値はありそうです。

ちなみに仙人の場合には、つい先頃、
痛風が原因でヒザに水が溜まりかけたとき、
ノブドウ酒でヒザの湿布を続けたところ、
4日ほどでハレと痛みが治まりました。

七色に色づくノブドウの実

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