蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第215回 (旧暦8月23日)
ガンとエイズに効く「白樺の癌」

キノコは「木の子」が語源といわれるごとく、
樹木と密接な関わりを持っており、
クロマツ林、アカマツ林、ブナ、ミズナラ林、……
といったように、その林相を構成する樹木の種類によって、
そこに発生するキノコの種類にも大きな違いがあるものです。

たとえば、キノコの代表とされるマツタケは、
アカマツとツガのほかにはクロマツやハイマツなどに
マレに発生することがあるくらいですし、
ヨーロッパのおとぎ話や民話に登場する
まっ紅な傘に白い斑点をつけたベニテングタケは、
シラカバ(シラカンバ)やダケカンバなどのカンバ林だけにしか
発生することがありません。
また、ベニテングタケが発生するカンバ林というのは、
そもそもそこに発生するキノコの種類はあまり多くなく、
日本のカンバ林で見られる食用キノコとしては、
ヤマイグチ、キンチャヤマイグチ、
ツバフウセンタケ、ササクレフウセンタケ、の
4種類といっていいのではないでしょうか。

ところが、そのカンバ林には、
強い抗腫瘍活性や抗HIV(エイズ)作用を示す
「幻のキノコ」があるのです。
それは、ロシアのノーベル賞作家ソルジェニーツィンの
『ガン病棟』に登場する「チャーガ」というキノコで
和名では「カバアナタケ」といいますが、
日本では本州の限られた一部と北海道にしか分布しないため
「幻のキノコ」と呼ばれているのです。

このキノコは、シラカバやダケカンバの幹の割れ目などに寄生して
菌核を形成するタバコウロコタケ科のキノコで、
色の形も石炭のようになるところから、
ソルジェニーツィンは同書の中で「白樺の癌」と表現しています。
シベリア地方では古くからガンの治療薬として
利用されてきたようですが、最近では乱獲によって激減し、
彼の地でも「幻のキノコ」になりつつあるようです。

仙人の友人の話によれば、北海道ではこれを専門に探す人がいて、
目の玉が飛び出るような高値で売買されているそうですから、
カンバ林に出掛けたら
念のためにチャーガを探してみてはどうでしょう。
もっとも、つい最近、オガクズ菌床による
菌糸培養に成功したと聞きますから、
近い将来、この「幻のキノコ」も
市場にドッっと出回ることになるのかもしれません。

ちなみに、日本生薬学界や日本エイズ学会では、
10年ほど前からカバノアナタケの
抗HIV作用に関する研究発表が行われ、
現在もその研究が続けられています。

カバノアナタケが生えるシラカバの木

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