蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第203回 (旧暦8月11日)
そろそろワレモコウの季節ですが……

9月に入って、空の青さが少しずつ秋らしくなってきました。
この分だと、鎌倉でもそろそろワレモコウの季節です。
ワレモコウは、全国の山野に自生するバラ科の多年草で、
30年程前までは、都市近郊でもふつうに見られた
里植物のひとつですが、道路の建設や宅地造成などによって
都市近郊ではアッという間に姿を見なくなってしまいました。

風情のある特有の花姿から、
もっぱら生け花の材料として重用されていますが、
実は「衣比須弥(えびすね)」「野槌(のづち)」などと呼ばれた
古名の時代から止血や下痢止めに用いられてきた
レッキとした薬草のひとつです。

ワレモコウの根茎には、タンニンやサポニンが多く含まれ、
止血や収れん作用にすぐれるところから、
花期が終わった晩秋に根茎を掘り、
ヒゲ根を取り去って天日で乾燥させたものを
「地楡(ちゆ)」と呼んで、漢方では、
吐血、血便、腸カタル、去痰、痔疾、湿疹、火傷、外傷などに
広く用いられます。

また、民間でも、下痢や血便、胃潰瘍などに
地楡2g(1回量)を200ccの水で半量に煎じて服用したり、
湿疹や切り傷、すり傷などに同一の煎汁を患部に塗布するなどの
療法が行われてきました。
もっとも、こうした伝統ある薬草が、
身のまわりからどんどん姿を消している実情を考えると、
たまにそれを目にしても、
とてもその根を掘り採る気にはなれません。

そこで仙人は、ワレモコウの花を見つけるたびに、
その若い種子を少しずつ採取して持ち帰り、
3年前から、ある場所にその種子を播くことを続けています。
うまくいけば、一度姿を消してしまったその土地に、
何十年振りかでワレモコウが再生することになるはずです。
このワレモコウのように、かつて里に栄えた有用植物を
再び甦させたりすることも、
やはり大切な仙人術のひとつなのです。

ワレモコウ

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