第202回 (旧暦8月10日)
要注意!これからがスズメバチの季節です
10日ほど前に、あるラジオの番組で、
ナチュラリストでもある俳優の柳生博さんとご一緒したのですが、
その折、どちらからともなく
「今年の夏は昆虫の姿が異常なほど少なかった」
という話になったものです。
そういえば、例年だと新聞やテレビで頻繁に報じられる
スズメバチの被害も、ほんの1、2度くらいしか
気が付きませんでしたから、
今年はスズメバチの活動もあまり活発ではないのかもしれません。
しかし、油断は禁物。
スズメバチによる被害は、盛夏よりも、
キノコ採りや木の実採りなどで人々がの山に出掛ける機会が増える
これからの季節のほうが多いのです。
いつだったか、マムシの事を取り上げた折にも
書いた記憶がありますが、この30年ほどの統計では、
マムシに咬まれて死亡した人は
10年間で1.5人以上程度であるのに対し、
スズメバチに襲われて死亡した人の数は
1年間平均で40人近くにも上ります。
つまり、日本の自然のフィールドで遭遇する動物災害で
最も気を付けなければならないのがスズメバチだというわけです。
スズメバチの毒は蜂毒の中ではいちばん強く、
激しい痛みを伴うとともに、主成分のキニン類には
血圧低下をもたらす作用がありますが、毒量が少ないために、
その毒だけで人間が死ぬようなことはありません。
ただ、蜂毒に対するアレルギー体質の人は、刺されると、
吐き気や発熱、じんま疹などの症状を呈するとともに、
ひどい場合には呼吸困難に陥って死にいたることが少なくなく、
スズメバチに襲われて死亡する事故は
すべて蜂毒アレルギーによるショック死が原因です。
スズメバチは、1匹の女王バチと
数百(ときには数千にのぼることもある)のはたらきバチが
集団生活を営んでいますから、
巣を見つけたら興味本位で近付いたりせずに
すぐ遠ざかるのが無難ですし、
ナゼか黒っぽい色の部分に集中して襲いかかる習性があるため、
これからの季節に野山を歩くときは、
できるだけ明るい色の帽子や衣服を
身につけるのがベターでしょう。
また、万一スズメバチに刺されたときは、傷口を水でよく洗い、
水や氷で冷やしながらできるだけ早く医者に行くことで、
巷間いわれるように尿やアンモニア液を塗布しても
何の効果もありません。
実は、かくいう仙人も、蜂毒アレルギーの持ち主ですから、
スズメバチに対しては強い警戒心を持って歩くようにしています。
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スズメバチの巣 |
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