第201回 (旧暦8月9日)
キノコ好きにはガンが少ない
昭和63年(1987)秋の日本ガン学会総会で発表されて以来、
世界的にも注目を浴びることになった
有名な疫学調査報告があります。
それは、長野県県内のエノキタケ栽培農家17万4500世帯を対象に
行われた「ガンによる死亡率」の調査ですが、
これによれば、長野県全体のガンによる死亡率は
10万人のうち160人であったのに対し、
エノキタケ農家の場合には10万人のうち97人と、
ガンが原因で死亡する人が約4割も少ないことが判明したのです。
その原因は、当然のことながら、
エノキタケ栽培農家ではその栽培しているエノキタケを
ひんぱんに食べていたからにほかなりません。
そして、その後の追跡調査によって、
おなじエノキタケ栽培農家でも、
エノキタケをたまにしか食べない人(月に1〜2回程度)と
比べると、週に1〜2回食べる人では約半分、
週に3回以上食べる人では半分以下、と、
それを口にする頻度の高い人ほど
ガンによる死亡率が低くなっていることや、
ガンの中でも、特に胃がんや食道ガン、膵臓ガンといった
消化器のガンが少ないことなどが判ってきました。
つまり、エノキタケというキノコには、
それを食べることで消化器系のガンを防ぐ成分が
含まれているということですが、
実はエノキタケとおなじ程度に誰でも知っている
身近なキノコの多くにも、
それぞれこのような抗ガン作用が認められているのです。
ちなみに、国立ガンセンターの資料で、
身近なキノコの抗腫瘍作用
(熱水抽出物によるガンの増殖阻止率)を検証してみると、
エノキタケ |
81.1% |
シイタケ |
80.7% |
マツタケ |
91.8% |
ヒラタケ |
75.3% |
ナメコ |
86.5% |
などとなりますから、これらのキノコをセッセと食べていれば、
かなり高い確率でガンを防ぐことができると言っていいのです。
ただし、キクラゲ(阻止率42.6%)と
マッシュルーム(同12.7%)は、
抗ガン作用に関してはそれほどゴリヤクがありませんので、
念のタメ……。
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エノキタケ |
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