蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第195回 (旧暦8月3日)
上海蟹の兄弟

8月も今日を含めてあと2日で終わりです。
9月に入ればいよいよ秋。
スポーツの秋、読書の秋、そして食欲の秋……。
今日はクイシン坊のために
ちょっとオイシイ話をすることにしましょう。

秋の味覚と呼ばれるものは、
海の幸、山の幸、川の幸を合わせると、
それこそ数え切れない数に上りますが、
中国料理でいえばやはり
上海蟹にとどめをさすのではないでしょうか。

上海蟹は長江(揚子江)流域の淡水に棲む蟹で、
現在では江蘇省を中心に広く養殖が行われ、
秋になると日本にも高値で輸出されて
中国料理店のメニューを飾ります。
「ナンダ、そんなことならもうトックに知ってるよ」という人も
多いでしょうが、今日の話はここから先が本題なので、
まあ、あわてずに聴いてください。
よろしいですかナ、
実をいえば、その上海蟹が
「日本の川にもたくさん居る」と言えば、
上海蟹の味を知っている人ほど、
「エッ!」と驚くのではないでしょうか。

もっとも、日本の川に居るやつは、
本場の上海蟹と双子の兄弟にあたるような間柄で、
姿かたちもソックリなら、味の上でもなんの遜色もありません。
ちなみに、上海蟹のほうは
日本名では「シナモクズガニ」と呼ぶのに対し、
日本の川に棲むほうは「シナ」の二文字を取り除いて
「モズクガニ」と呼ばれています。
この蟹は、春には河口部の汽水域に棲むものの、
梅雨どきになると増水に合わせて上流部にさかのぼり、
晩秋までには再び河口部へと下りますから、
上流の山間地の人たちは、夏の「上りガニ」と
秋の「下りガニ」とを捕獲して食べるのですが、
とりわけ初秋から仲秋のころのものが最良とされます。

食べ方は、上海蟹と同様に、生きているやつを蒸し、
酢油で食べるのが最高ですが、山里流に味噌汁の中へ
生きた蟹を丸のままほうり込んで食べるのも、
野趣に富んでなかなかにケッコウなものです。

ところで、ここだけのナイショの話しではありますが、
鎌倉にもこのモズクガニが上る川がありますから、
仙人も明日あたり、今年最初の蟹カゴを
仕掛けてみようと思います。イヒ。

モクズガニ 蒸したモクズガニ

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