蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第189回 (旧暦7月27日)
バライチゴの「誘惑」

ちょうど今ごろの季節、富士山の2合目あたりに行くと、
親指の頭よりも大きな真っ赤なイチゴがたわわに実っています。
これは、山梨県あたりから西の山地に自生する
低木性の木イチゴで、その名をバライチゴ
またはミヤマイチゴと呼びます。

木イチゴのなかまは、世界で500種ほどあり、
そのうち日本には35種が自生していますが、
背丈は30cm程度の小低木ながら、
結ぶ実の大きさでは日本産木イチゴの中で
このバライチゴが最大です。

30年ばかり前、富士山でその群生に始めて出合ったときは、
仙人もあまりの壮観さに
しばらく声もなく立ちつくしたものですが、
フト気が付くと、同行していた奥方は、その群落に足を踏み入れ、
物も言わずにセッセとイチゴの実を摘んで
ビニール袋に詰め込んでいたのでした。
その日、家に戻って調べてみると、
バライチゴの学名が「誘惑的」という意味であることが判り、
昼間の奥方の行動は、その誘惑に誘われてのであろうと、
妙に納得したことを憶えています。

それ以来、仙人と奥方は、
毎年夏の終わりになるとバライチゴの誘惑に乗せられて
富士山通いを続けてきましたが、その群落も次第に小さくなって、
今では応時の面影を偲ぶことすらできなくなってしまいました。

さてこのバライチゴですが、
生食すると甘みがやや乏しくて大味な感じがするものの、
ジャムや果実酒に仕立てるとなかなかの逸品になります。
バライチゴには、ビタミンCやカロチンがたくさん含まれるほか、
果糖、ペクチン、クエン酸などが含まれていて、
この果実酒には風邪、疲労回復、冷え性、精神安定、強壮、美容
などの効果がありますから、これを手に入れる機会があれば、
ぜひ果実酒を作ってみることです。

作り方は、塩ひとつまみ加えた水で果実を軽く洗って水けをきり、
ビンに入れて(酒1.8Lに対して1L、氷砂糖100g)
35度のホワイトリカーを注ぎ、
密封して3か月ほど熟成させますが、
漬け込んだ果実は2週間で取り出します。

ところで、8月26日の夜(8時5分から)、
NHKラジオ(第1放送)の
「ふれあいラジオパーティー」という番組で、
このバライチゴも含めた木の実の話を
仙人と俳優の柳生博さん、植物画家の群馬直美さんの3人で
1時間ほどオシャベリしますから、
興味のある人は聴いてみてください。

バライチゴ バライチゴの実

バライチゴ酒

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