第184回 (旧暦7月22日)
なつかしの「大輪ヒマワリ」を見直そう
夏休み中のある日、鎌倉の裏道を歩いていると、
畠地の畦に数本のヒマワリが大輪の花を咲かせている姿を
眼にとめました。
そのときフト気が付いたのですが、仙人が子供のころは、
ヒマワリといえばすべてこの大輪の原種型のものであったものの、
最近では品種改良によってどんどん小型化され、
昔ながらの大輪のヒマワリを
ほとんど眼にしなくなってしまったように思います。
もしかすると、これも住宅事情によって
各家の庭が狭小となったことと関係があり、
大型のヒマワリを植えるスペースが
失われてしまったのかもしれません。
さて、そのヒマワリは、北米大陸原産のキク科の1年草で、
高さ2m、花の径20〜30cmになりますが、
ロシア地域で改良された品種には
花の径が40〜50cmにもなる超大輪のものもあります。
これは、ヒマワリの種子には大豆より
20〜30%も多く脂肪油が含まれており、
その脂肪油をとる目的で栽培されるようになったものです。
ヒマワリの脂肪油にはオレイン酸やリノール酸が多量に含まれ、
オリーブ油のように食用油として利用されるほか、
灯火用の油やセッケンおよび塗料の原料として
用いられてきた歴史があります。
一方、薬理的に見ると、ヒマワリの脂肪油は50%以上が
リノレイク・アシドで構成されていて、
動脈硬化や高血圧症の予防には
ベニバナ油と同等の効果がありますから、
これらの成人病の心配がある人は、
ヒマワリの種子をフライパンで煎ってセッセと食べるとヨロシイ。
仙人は、若い時分から、冬山登山の折の非常食として
この煎ったヒマワリの種子を活用してきましたが、
カロリー的に見ても大豆より高く、
すぐれたエネルギー源となります。
ちなみに漢方では、種子以外にも、
花を向日葵花(こうじつきか)と呼んで血圧降下に用いるほか、
花托(向日葵花托=こうじつきかたく)は血圧降下と鎮痛に、
茎の髄(向日葵茎髄=こうじつきけいずい)は尿路結石や血尿に、
葉(向日葵葉=こじつきよう)は健胃と高血圧症に、
そして根(向日葵根=こうじつきこん)は利尿と緩下材として、
余すところなく全草を薬用しています。
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ヒマワリの花 |
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