第183回 (旧暦7月21日)
晩夏の山で摘む仙人の秘薬
おひさしぶりですネ。
みなさんももう夏休みは済ませましたでしょうか。
この夏に山へ登った人も居るかと思いますが、
実をいうと、仙人は暑い夏の山よりも、
お盆を過ぎた夏の終わりの山のほうが好きで、
いつも8月20日を過ぎてから山へ入るようにしています。
それは、お盆を過ぎると急に人の数が少なくなって
山に静寂が戻ってくるようになることと、
晩夏の山にはもう確実に秋の気配が訪れていて、
下界よりひと足早く秋の味覚を楽しむことができるからです。
晩夏の山で楽しめる秋の味覚にはいろいろなものがありますが、
今日はその中からツツジ科の小さな木の実のことを
紹介しておくことにしましょう。
高山性のツツジ科の小低木の多くは、
6〜7月に花を着け、8〜10月にかけて実を結んで熟します。
このうち、8月後半あたりから熟し始めるものとしては、
アカモノ、ウラシマツツジ、摘んで生で食べることができます。
これらは、どれも直径6〜10mm程度の小さな果実ですが
ビタミンはもちろん、しょ糖、果糖、リンゴ酸などを含んでおり、
山歩きの途次に数粒つまんで口にほうり込むだけで
疲れた身体に元気が甦るチカラを持っているのです。
考えてみれば、厳しい環境に生きる獣や鳥たちは、
こういうものを食べて山の中を走りまわり、
空を翔んでいるわけですから、
この小さな木の実の中に
それだけのパワーの素が詰め込まれているとしても
何のフシギもないでしょう。
仙人はもう30年以上ものあいだ、
山歩きの途々(みちみち)にこれらの木の実を見つけると
動物たちの邪魔をしないように一株から10粒くらいずつ失敬し、
両手のひらスリキレ1杯ほど、持ち帰って果実種を作り、
山の味覚とパワーとの恩恵にあずかってきましたから、
もしかすると、そろそろ空を飛べるようになるかもしれませんゾ。
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クロウスゴの実 |
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