蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第179回 (旧暦7月8日)
1ヵ月1万円で過ごせますか?

半月ほど前の話ですが、このページを見て、
あるテレビ局から仙人にメールが届きました。
話しを聴いてみると、「1ヵ月1万円で過ごす」
という企画を進めていて
タレント某が山に入って小屋を作り、
1ヵ月その小屋に滞在して木の実、草の葉、虫などを採って
食糧にしながら過ごす、という構成で収録したいので、
仙人に協力してもらえないか、ということでした。

そこで、「どんな協力をすればいいの?」と訪ねますと、
「夏の時期に山で調達可能な食べられる植物や小動物と、
それが採れる場所を教えてほしい」と言うのです。
実をいうと、こうした依頼は、これまでにも何度もありましたが、
結果として実現したタメシはタダの一度もありません。
それは、そうした試みの実現性が不可能だからではなく、
それを企画する人たちに日本の自然に対する
基本的な知識が欠落していて、彼らが頭の中に描く自然と
現実の自然の姿とでは大きな違いがあるからです。

たとえば、今度の場合も、サワガニだのサンショウウオだの、
いくつかの例を挙げて説明したのですが、
それらがどんな場所に棲んでいて、
どうやって捕まえればいいかということをまるで知らないのです。
そうなると、「とりあえず、アナタ自身が1日でも2日でも
山に入って食べられそうなものを自分で探してみてはどうですか?
そのうえでやれそうだと判断できたら、また連絡してください」
とでも応えておくしかありません。

仙人が客観的に判断すれば、1ヶ月といわず、たとえ1週間でも、
山の中にはいって食糧を自給できる人というのは、
今の時代、数えるほどの人しかいないと
いっていいのではないでしょうか。
たしかに、日本の自然は、仙人から見ると
天然食材のウルトラスーパーマーケットと言えますが、
四季を通じてその恩恵に浴せるようになるには、
やはりそれなりの修業を積まなければなりません。
したがって、もし本当に1ヵ月1万円で過ごしたいのであれば、
勝手を知らない山の中などへ足を踏み入れず、
デパートの地下食品売場へ日参し、
試食品漁りをしているほうがよほど現実的だと思いますがネ。

サワガニを油で揚げる サンショウウウオの幼生

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