第174回 (旧暦7月3日)
こんな侵入者なら歓迎します
3日ほど前、久し振りで
庭の草むしりをしていたときのことですが、
しゃがんだ姿勢で少し身体を動かした瞬間、
周囲にさわやかな香りが漂いました。ハッカの匂いです。
おそらく、身体を動かしたとき
衣服の一部がハッカの葉にでも触れて
サッと香りが立ち昇ったのでしょうが、
きっと何か別の植物にくっついて
我が家に侵入してきたのに違いありません。
しかし、おなじ侵入者でも、
コンピュータに侵入してウイルスを撒き散らす
「ハッカー」と違って、最後の音引きが付かない「ハッカ」なら、
侵入されても異存はないというものです。
ハッカには全草に1%の精油成分が含まれており、
そのうちの80〜90%がメントール(メンソールともいう)
ですから、あの爽やかな香りはメントールの匂いです。
ハッカの仲間(シソ科ハッカ属)は
自然交雑しやすいこともあって、
自然雑種を含めると世界に600以上もありますが、
主要有用成分であるメントールの含有量では
日本原産の「ハッカ(メンタ・アルベンシス)」が
最もすぐれていることが知られています。
メントールには、優れた殺菌作用と、
鎮痛・鎮静・鎮痒・発汗・健胃などの作用があり、
痒み止めや湿布薬などの多くに用いられているほか、
漢方では主として発汗・解熱・健胃・清涼などの目的で
使われてきました。
また、ヨーロッパでも、
セイヨウハッカ(オランダハッカ)を中心に
精神安静、健胃、カンゾウ障害、風邪、打ち身、筋肉痛、腰痛、
関節痛、虫刺されなどに広く利用されてきた歴史があります。
ちなみに日本の民間用法としては、
胃もたれや健胃に乾燥して細断したもの小さじ1ぱい分に
湯を注いで飲用したり、ハチに刺されたとき
葉のもみ汁を塗布したりするほか、
虫除けとして乾燥葉を小袋に詰めて衣裳ダンスに入れる、
などがありますが、仙人のオススメは「ハッカ湯」に入ること。
生の茎葉(乾燥したものでよい)を鍋で15分ほど煮出し、
その煮汁を風呂の湯に加えて入浴すると、
夏ならば浴後の清涼感がなんとも爽やかですし、
冬ならば引き初めの風邪や予防に効果テキメンですゾ。
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ハッカ |
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