第173回 (旧暦7月2日)
「かまど」は必要最小限の大きさで築くもの
焚火の上手な起こし方については、
これまで何回かにわたって述べてきましたから、
今回は焚火とは不可分の「かまど」の話をすることにしましょう。
「かまど」というのは、土や石、木などで築いた囲いの中で
火を焚き、その上に鍋や釜をかざして
煮炊きするための施設の総称で、
電気やガスなどが普及する前は
どの家庭にも常設のかまどが築かれていて、
これで日々の料理が作られていたのです。
周囲に囲いを施すのは、
火力を集中させて燃焼効率を高めるとともに、
上にかざす鍋や釜の支点とするためですが、
屋内の常設かまどでも、野外に築く仮設のかまどでも、
この2点が基本的な用件であることに変わりはありません。
ただ、野外の場合には風の影響を受けやすくするため、
野外でかまどを築くときは、
先の2点に加え風向きに対する配慮が必要になってきます。
そのためには、必ず風が吹き込む側を焚き口にとることですが、
川筋では朝と夕方とで風向きが逆になることが多いため、
こんな場合は、最初から風向きに応じて
簡単に焚き口の方向を組み替えられるような仕組みのかまどを
築いておくのがコツというものです。
また、かまど作りにあたって、もうひとつ重要なことは、
使用する人数や回数に合わせ、
それに適した大きさのかまどを作る、ということがあります。
一般的なかまどの基準は、飯盒(はんごう)やコッフェルなど、
使用する鍋類を同時に二個掛けられる大きさがあればよく、
4人程度のキャンプなら、
このサイズのかまど1基で十分まかなえるものです。
このかまどの大きさの問題は、
例えば2人分の食事を作るのに
5人分の料理が作れる分量の薪を集めるのが
無駄であるのと同じように、
必要以上のサイズのかまどを築くのは
その時間も労力も燃料も
すべて無駄を費やすことにつながってきますから、
決してオロソカにすべきことではアリマセン。
ちなみに、野外で築いたかまどは、撤収するときに解体し、
現況に復しておくのがマナーですが、
そのときの労力のためにも、
必要最低限の大きさのかまどを作り、
それを使いこなすことが大切だといえるのですナ。
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