第167回 (旧暦6月25日)
「火が燃える」原理を忘れていませんか?
今日は、仙人流焚火術のつづきです。
むかしは、落ち葉をかき集めた「落ち葉焚火き」などが
ごくごく日常的に行われ、
その光景が童謡にも唄われたほどですから、
誰でも焚火の燃やし方や作法を知っていたものです。
しかし、その習慣が途絶えた現在では、
焚火の上手な起こし方を知っている人は
ほとんど居なくなってしまい、
キャンプ場などで飯盒炊さんしている人たちを見ると、
ただただ煙にむせ返っている人が多いのに驚きます。
これは、スイッチをひねれば
簡単に火が得られるような生活に馴れてしまい、
「火が燃えるとはどういうことか」という原理について
考えたり意識したりしなくなってしまったせいに違いありません。
結論から先に言えば、そもそも火が燃えるためには
酸素が必要ですから、
空気が通りやすい火床と燃えやすい火種(ひだね)とさえあれば、
たとえ雨や雪の中でも
マッチ1本で焚火はちゃんと起こせるものなのです。
そのことは、平らな地面にダンボール箱を置き、
これに火をつけて燃やしてみるとすぐに理解できることでしょう。
火を着けられたダンボール箱は、
空気にさらされている上面と周囲の4面とは
すぐに燃え尽きてしまうものの、
地面に密接した底面だけは
ほとんど燃えずに残ってしまうはずです。
それは、ダンボール箱の底と地面が密着して
空気が通らないためですが、焚火の火床も同じことで、
通気性が悪ければ薪は決して燃え上がらないのです。
また、もうひとつの火種の方ですが、
これは、うえにある細木を発火させるためのものですから、
ただ火着きが良いだけでなく、
細木に点火するまでに燃え尽きてしまわないような
「火持ちの良い」ものでなければなりません。
自然のフィールドで手に入れられる火種の材料としては、
シラカバやダケカンバの外樹皮
(紙のように薄くはがれる一番の外側の部分)、
スギやヒノキの樹皮、広葉樹の枯葉などがありますが、
牛乳パックのようにロウを引いた紙類も
火種として利用できるため、
これを細く切って持っていくのも一法でしょう。
ちなみに仙人は、
シラカバやダケカンバの倒木や枯れ木を見つけると、
その外樹皮を剥いで火種用に蓄えておりますゾ。
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牛乳パックは便利な火種となる |
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