蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第165回 (旧暦6月23日)
奥方の散歩のオミヤゲ

仙人の奥方は、このところ、夕方になると
毎日のように海岸に散歩に出掛け、
そのたびに小さなビニール袋に入れて
ツルナの葉を持って帰ります。
ツルナというのは、太平洋沿海諸国の海浜に広く分布する
ツルナ科の多年草で、もちろん、
日本でも北海道南部以南の海岸でふつうに見られますが、
欧米では好んでこれを食用するのに対し、
ナゼカ日本ではこれまであまり利用する習慣がありませんでした。

ところが、江戸時代の本草学者である小野蘭山の
『大和本草会議』(1783年)には、
「海浜に自生あり、和名ツルナと言う。
いまは人家に植えて食用とす」と書かれていますから、
当時は家庭栽培まで行って
セッセと食べられていたことが判ります。
そのツルナを、いつごろから、どうして利用しなくなったのか、
詳しい事情は解りませんが、
西欧人好みの食材を競って口にする傾向の強い日本で
これが利用されないというのは、
考えてみればフシギなことに思えます。

それはともかく、このツルナは英名で
「ニュージーランドほうれんそう」と呼ばれるように、
ビタミンA、B、レシチン、鉄分などを多く含む健康野菜として、
イギリスを中心にヨーロッパ各地では
広く栽培が行われているのです。
また、漢方では、その全草を陰干し乾燥したものを
「蕃杏(ばんきょう)」と呼び、胃炎や腸炎、
敗血症などに用いるほか、民間でも
胸やけ(胃酸過多)や胃潰瘍にツルナ茶を飲用したり、
切り傷やハレモノにめし粒と塩を混ぜて
生薬をすりつぶしたものを貼る、などの療法が行われています。

つまり、ツルナという海浜植物は、
食薬両用のすぐれた野草だということで、
こうしたスグレモノを利用しないのは、
なんともモッタイナイではありませんか。
しかも、このツルナという植物は、常緑性のため、
暖地なら1年を通して利用できるという
オマケまでついているのです。
ちなみに、我が家では、
バター炒めやグラタンから味噌汁の具まで、
毎日のように食べていますが、
和・洋・中、ほとんどの料理によく合いますゾ。

海辺に生えるツルナ

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