蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第159回 (旧暦6月17日)
ハマナスは見るだけのモノではありません。

そろそろ梅雨の終期を迎え、
北国の海辺ではハマナスの実が紅く染まり始めたことでしょう。
ハマナスは、バラ科の落葉低木で、太平洋側では九十九里浜以北、
日本海側では島根県伊東の本州と北海道に分布し、
海辺の砂浜や草地に群生しますが、
最近では園芸用に広く植栽されるようになり、
湘南地方の民家の庭でもしばしば目にするようになってきました。

ハマナスの名前の由来については、
ハマナシ(浜梨)が本来の名で
東北弁では「シ」と「ス」が訛るところから
「ハマナシ」が「ハマナス」になった、という説があるものの、
仙人は、このハマナスの紅い実を目にするたびに、
ハマナスは「ハマナシ」ではなくて、
やはり最初から「ハマナス」だったに違いないと考えています。
それは、ハマナスの熟果は一見するだけで
梨よりもトマトに似ており、
そのトマトのことを古くはアカナス(赤茄子)と
呼んでいたからにほかなりません。

マア、そのことはともかくとして、このハマナスは、
花も実もなかなかに有用な植物ですから、
園芸用として花を愛でるだけでなく、
その利用法についても知っておいてソンはないというものです。
まず、花のほうですが、ハマナスの花には、
ゲラニオール、リナオール、オイゲノールなどの
精油成分が含まれており、ローズ油を抽出して香水に用いるほか、
収れん作用にすぐれるため、
新鮮な花弁を乾燥(陰干し)させたものに熱湯を注ぎ、
花茶として飲用すると、生理過多や下痢止めに効果があります。

一方、果実にはビタミンCやカロチンが豊富に含まれていて、
主として果実酒に用いますが
(酒1.8Lに対して果実1L、氷砂糖100g)、
このハマナス酒は、疲労回復を始め、低血圧、不眠症、
暑気あたり、美容などにヨロシイ。

また、タンニンを含む根は古くから
染料として利用されてきた歴史があり、
秋田八丈はこのハマナスの根で染めたものです。
ちなみに仙人の場合は、8月生まれの奥方の誕生日に、
乾燥させた花びらを詰めた袋と生の果実を湯船に浮かべ
「ハマナス湯」を作りますが、香水の原料にするだけあって、
なんとも良い香りのする薬湯が楽しめますゾ。

ハマナスの実 ハマナスの花

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