第155回 (旧暦6月13日)
ハスの花は観賞するだけのものではアリマセン
今日は「小暑」第二候の始まりで、
「ハスの花が咲き始める季節」とされていますが、
実際にはハスの花はもう一か月ほど前から咲き出していて、
そろそろ最盛期を迎える時分です。
ところで、このハスの花ですが、
昼過ぎの時刻にハス池に行くと、つぼみのもの、半開のもの、
そして全開のもの……と、
3種類の様態が見られることに気が付いたことはないでしょうか。
実は、ハスの花は、そのときの花の姿によって、
その花の寿命を知ることができるのです。
どういうことかといいますと、ハスの花は、
「朝陽が昇るころに開花して、2時間後くらいに満開となる」
という周期を4日間繰り返すのですが、
1日目と2日目は昼頃には再び閉じてつぼみ状に戻り、
3日目には午後になると半開状に閉じ、
そして、4日目には全開した姿のままで閉じることなく
そのまま散って4日間の短い命を終わります。
したがって、昼過ぎに目にしたとき、
つぼみ状の花は1日目か2日目の花、半開のものは3日目の花、
そして全開のものは4日目の花、
と判別できることになるわけです。
さて、ハスといえば、
一般に根茎(蓮根)を食用にするくらいですが、
漢方では、葉を「荷葉(かよう)」、花を「蓮花(れんか)」、
花たくを「蓮房(れんぼう)」、
葉柄と花柄を「荷梗(かこう)」、果実を「蓮実(れんじつ)」、
根茎を「藕(ぐう)」と呼び、そのすべてを薬として利用します。
そこで今日は、ハスの花の季節にちなみ、
葉と花の薬用法について紹介しておくことにしましょう。
まず葉のほうは、ロエメリン、ヌシフェリンなどの
アルカロイドが含まれていて、
主としてと血・血便・痔・鼻血などの
活血止血と下痢止めに用いますが、
民間では、強精食として葉を粥に炊き込んだり、
キノコ中毒や淋病、利尿に葉を煎じて飲用したりするほか、
ウルシかぶれに葉の煮汁を塗布する、
などの療法が行われています。
また、花のほうも活血止血薬として用いられますから、
痔疾で悩んでいるような人は花茶を作って飲むとヨロシイ。
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ハスの花 |
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