第144回 (旧暦6月2日)
身近なササの葉を見直そう
昨夜、年来の友人が自分で釣ってきたアユを10ピキほど
竹の篭に入れて届けてくれました。
篭のふたを開けると、びっしりとササの葉が敷き詰められ、
そのうえにピキずつササの葉でくるんだアユが
行儀よく並べられているのを眼にし、
仙人は思わずニヤリとしたものです。
仙人も、ヤマメやイワナを釣りに行くときは、
釣った魚を必ず1ピキずつササやフキの葉に包んで
魚篭に納める習慣があるのですが、
こうすると魚の鮮度を落とさずに持ち帰ることができるのです。
いろいろな植物の葉には防腐効果や殺菌効果があることは
前にも書いたことがありますが、
とりわけササ類のその効果は出色で、
昔からチマキや団子などの食品を包むのに
ササの葉が利用されてきたのもそのためですし、
生魚を扱う握り寿司や日本料理の盛り付けに
ササの生葉があしらわれてきたのも
こうした意味があったからにほかなりません。
このササの葉に含まれる
防腐・殺菌の成分はアンソッコウ酸といい、
日本に分布するササ類の多くにはこれが含まれていますから、
釣り師や料理人だけでなく、
みなさんも積極的に活用することを考えてみてはどうでしょうか。
通常、健康茶などとして用いられるのはもっぱらクマザサですが、
これは、クマザサの葉が比較的大型で利用しやすいことと、
栽培化が進んで入手が楽なためで、
クマザサにしかこうした効用がないわけではなく、
チマキザサ、ミヤコザサ、オオバザサ、
ニッコウザサなどをはじめ、ほとんどのササの葉が
みな同様に利用できるものです。
ササの葉に含まれる有効成分には、上記のアンソッコウ酸以外に、
葉緑素、ビタミン類(B1・B2・C・K)、カルシウムなどがあり、
血液の弱アルカリ化や健胃にも効用がありますから、
クマザサだけにとらわれず、入手しやすいササの葉で
まずは健康茶でも作ってみるのがヨロシイ。
ササ葉茶の作り方は、夏期の青葉を摘んで水洗いし、
適当な大きさに刻んで天日に干して乾燥させ、
適宜お茶代わりに飲用しますが、胃弱に悩む人の場合には、
やわらかな葉を青汁にして飲むのも一法です。
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クマザサの若葉 |
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