第142回 (旧暦5月30日)
シイタケに着く白い粉の正体は?
どこかで買ってきたシイタケなどでも、何日か置いておくと、
ときどき傘の表面が白い粉のようなものを被った状態になることに、気が付いたことはないでしょうか。
これは、カビが生えたりしたのではなく、
実は、上に重なったシイタケから放出された
シイタケの胞子なのです。
マツタケでもシイタケでも、傘の裏側がヒダになっているキノコは、
このヒダの部分で胞子が造られ、
成熟するとその胞子を放出するため、
キノコを重ねておいた場合には、
その下側に位置するキノコの傘の上に
放出された胞子が堆積することになるわけですナ。
そこで、こんなときは、
すぐ「カビが生えた」などと早合点しないで
チョットその様子を観察してみることをすすめます。
そうすると、いちばん上にあるキノコの傘には
粉が着いていないことに気が付きますし、
その付着した粉も、よく見るとキノコのヒダとそっくりの
放射状の模様を描いていることに気が付くはずです。
こうして胞子の落下によってできるヒダの模様を
「胞子紋」と呼ぶのですが、この胞子紋の知識を持っていると
毒キノコを口にする危険性を避けられることがある、といえば、
ビックリする人も多いのではないでしょうか。
それはどういうことかといえば、
キノコの種類によって胞子の色が少しずつ異なるため、
胞子の色から危険なキノコをある程度避けることができる、
ということです。
たとえば、マツタケやシイタケ、エノキタケ、
チチタケ、ホンシメジなどの胞子は白色、ハツタケは帯黄色、
クリタケの場合は暗紫褐色……といった具合ですが、
これに対して、いちばん中毒例の多い
クサウラベニタケというキノコの胞子は肉色をしています。
もちろん、白色の胞子のキノコはすべて安全で、
肉色の胞子のキノコはすべて毒、というわけではありませんが、
外見だけで見分けられない場合でも、
胞子の色で危ないキノコを避けられる場合がある、
ということだけでも、とりあえず憶えておくとヨロシイ。
ちなみに、傘の直下で柄を切り落とし、
ヒダの面を下に向けて白か黒の紙の上にキノコを置き、
コップやガラス鉢を被せておくと、
3〜4時間できれいな胞子紋がとれますから、
興味がある人は試してみてください。
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キノコの胞子紋 |
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