第137回 (旧暦5月25日)
血圧降下に卓効のあるウツボグサ茶
今年も2日前に夏至を迎えました。
夏至は二十四節季のひとつで、
一年のうち昼の時間がもっとも長く、
夜の時間がもっとも短い日に当たり、
東京地方の場合だと、昼の時間が約14時間35分に及びます。
ところで、旧暦では、二十四節をさらに3等分し、
最初の5日間を初候(一候ともいう)、
つづく5日間を次候(ニ候)、
そして残りの5日間を末候(三候)といいますが、
こうして一年間を72等分したものを七十二候と呼び、
この七十二候でいえば、今日は夏至の第一項に当たり、
「鹿が角を落とし、乃東枯する」季節ということになります。
ここにいう乃東(だいとう)とは、ウツボグサのことですが、
この草は夏に立ち枯れるところから
「夏枯草(かこうそう)」とも呼ばれるほか、
カコグサ、コムソウグサなどと呼ぶ地方もあります。
漢方でも、これの花穂を乾燥させたものを「夏枯草」と呼んで、
生薬にし、利尿や膀胱炎などに用いますが、
血圧効果や利尿に卓効のある健康茶としても利用できますから、
そのケがある人はぜひ試してみるとヨロシイ。
ウツボグサは、平地から山地までの日当たりのよい草地や川原。
林縁などに生えるシソ科の多年草で、
6〜8月ころ、茎頂に紫色の唇形花を穂状につけ、
この花穂の姿が弓矢を入れる
「靱(うつぼ)」に似ているところから
ウツボグサの名で呼ばれるようになったものです。
健康茶の利用法は、立ち枯れる前の花穂を摘み、
天日でカラリと干し上げてから適当な大きさに刻んで保管し、
1日3回、食後のお茶代わりに飲用しますが、
カリウム塩を多量に含み、動物実験でも
著しい血圧効果作用と利尿作用とが認められています。
また、扁桃腺の炎症や口内炎のとき、
この煎液(茶汁でよい)でうがいをしたり、
打ち身に煎液で湿布したりする民間療法が広く行われているほか、
ムチ打ち症による痛みやしびれが
夏枯草の煎液で改善したという例も聴きます。
なお、ウツボグサの若葉と花は、
和え物、煮びたし、テンプラなどで食用することもできますから、
健康茶作りのついでに食卓でも楽しんでみようではありませんか。
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ウツボグサ |
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