第136回 (旧暦5月24日)
膝の屈伸が楽なスタイルで歩こう
今日は仙人流歩行術の話です。
ひところ前を較べるとだいぶ少なくなったとはいえ、
野山を歩くとき、ストレート型のズボンの裾を
靴下の中に巻き込んで歩いている人をしばしば見かけますが、
これは仙人流歩行術ではご法度に該当します。
日本の伝統的なアウトドア用の足ごしらえとしては、
脚絆やゲートルで下肢を保護する方法があり、
これは極めて理にかなったものでした。
それは、アウトドアで活動するうえでもっとも大切なことは、
常に膝や肘など関節部分の屈伸が
スムーズに行われることであるからです。
山登りにしろ、ゴルフにしろ、また、トビ職や左官にしろ、
アウトドアでのスポーツや仕事にたずさわる人たちの間で、
古くから膝の屈伸が楽な
ニッカーホース式のズボンが用いられてきたのは、
イチにもニにも、このためだったのです。
ところが、ストレート型のズボンというのは、
ただでさえ膝の屈伸が窮屈なのに、
その裾を巻いて靴下の中に押し込んでしまったのでは、
膝を曲げるたびにズボンが突っ張って、
膝の動きをさらに窮屈にしてしまうではありませんか。
こんなスタイルで自然のフィールドを歩いていると、
足の疲労を速めるばかりでなく、急斜面や岩場などでは、
バランスと崩して思わぬ事故を招く原因にもなりかねません。
もしかすると、こういうスタイルで歩いている人たちは、
砂れきや土などが靴の中に進出するのを
防ぐつもりなのかもしれませんが、
そういう理由であるならば、
きちんとスパッツを装着して防御するべきで、
そのために肝腎の膝の屈伸を犠牲にするのは
本末転倒というものです。
ともあれ、何回かにわたって
仙人流歩行術のいくつかを紹介してきましたが、
その基本は、いかに疲れない歩き方をするか、
ということにつきることだけは
解っていただけたのではないかと思います。
そして、それさえ心掛けて歩いていれば、
必ずや、いつの間にか歩き上手になっている自分に
気が付くことになるはずです。
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