蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第135回 (旧暦5月23日)
そろそろキノコの姿が目につく季節ですが……

「このキノコ、食べられるの?」
昨夜、弟子のナオちゃんが訪ねてきて、
そう言いながらネズミ色がかった白いキノコを10本ばかり
仙人の前に差し出しました。

「うん。ナオちゃんは食べてもダイジョウブだよ。
だけど、パパには食べさせないようにしないとダメだね」

「えっ、パパはダメなの? どうして?」

「うん、それはネ……」

そう言って仙人がナオちゃんに説明したのは、こういう話です。

ナオちゃんが採ってきたそのキノコは、
ヒトヨタケというキノコなのですが、
このキノコにはおもしろい特性があるのです。
どういうことかといいますと、このヒトヨタケというキノコには
コプリンという水溶性の有機化合物が含まれているのですが、
そのコプリンには、
体内のアルコール分解酵素のはたらきを阻害する作用があり、
体内にアルコールが残っているときにこれを食べると、
アルコールが分解されないため
宿酔(ふつかよい)に似た悪酔い状態をもたらすのです。

しかも、前日飲んだ酒でも
体内にアルコールが残っていればそうした症状に見舞われますし、
また、何日か前にヒトヨタケを食べていて、
その後に飲んだ酒でも、
今度は体内にコプリンが残っているために
やはり同じメに遭うことになりますから、
ナントモ始末におえません。
ところが、アルコールさえ摂取していなければ
何の障害もないレッキとした食用キノコで、
傘を開く前の幼菌をスパゲティやオムレツに入れたり、
コンソメスープにほうり込んだりして仙人も楽しんでいます。

つい4、5日前も、群馬県だか栃木県だかで、
テングタケを食べた男3人が病院にかつぎ込まれたという話を
テレビで観ましたが、このヒトヨタケの例のように、
キノコにはフシギな性質を持つものが少なくありませんから、
知らないキノコは絶対口にすべきではありません。
ちなみに、先の3人が食べたテングタケに含まれるイボテン酸は、
グルタミン酸の数倍のウマミがあり、
ちょっと口にするとえらくウマイため、
ついつい食べられるキノコだと思ってしまうのでしょうか……。

ヒトヨタケ

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