蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第123回 (旧暦5月11日)
ハーブというのは、裾野の広い世界です

昨日の「もしもしQさんQさんよ」
邱永漢さんがハーブ茶のことを書かれているのを知りました。
そのなかで邱さんも指摘しているように、
われわれの周囲にはハーブというものを
きわめて狭義に理解している人が多いように思います。
そこで今日は、仙人からも
ハーブについて少し補足しておくことにしましょう。

ハーブという言葉は、しばしば香草とか薬草とかと訳されますが、
それはハーブの一部ではあっても総てではなく、
本来は、われわれの生活にとって
役に立つ植物全体を差すものです。
従って、香りが強いものも弱いものもありますし、
用途の上でも、医療や料理だけではなく、
化粧や洗剤、防虫・防臭などから染料まで、
衣食住すべてにわたってきわめて多岐に及びます。
また。ハーブと呼ばれる植物は、近年ヨーロッパから移入され、
ハーブガーデンなどで育てられているものが
すべてだと思い込んでいる人もあるようですが、
実は、漢方で使われる生薬植物などもすべてハーブの一部ですし、
日本の民間療法で重用されてきた
ゲンノショウコやドクダミなども、
みなハーブと呼んでさしつかえないのです。

それではナゼ、ゲンノショウコやドクダミのことを
通常ハーブと呼ばないかといえば、
ハーブという概念が生まれたヨーロッパには
ゲンノショウコやドクダミが分布しておらず、
彼らがその存在を知らなかっただけのことにすぎません。
もともと、地球上のどの民族も、
それぞれの地域に産する植物を利用してケガや病気の治療などに
役立てる知恵を育んできた歴史を持っています。
そして、一部の民族や地域のあいだには、
やがて、それに関する基本的な考え方や用法などが
普遍的に整理整頓され、
ひとつの体系が作り上げられてきましたが、
その代表的なものが中国の漢方であり、
ヨーロッパのハーブだったのです。

したがって、漢方にしろ、ハーブにしろ、
初期的にはそれぞれの地域に
自生する植物が使われていたわけですが、
時代が進むとともに情報や人の交流が発展し、
しだいに他地域の植物も
その体系の中に取り込まれてきたのでした。
ハーブの中に熱帯系の香料類が数多く含まれているのも、
実は、そうした歴史があったからにほかなりません。
このように、ハーブという概念は相当に裾野が広いもので、
近年日本で紹介されてきたハーブの世界は、
そのホンの一部の姿でしかないことを、
この機会に理解しておこうではありませんか。

ハーブガーデン

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