第122回 (旧暦5月10日)
玄米の簡単な発芽法を教えます
これまで何回かにわたって、
玄米が発芽することによって生じるいろいろな変化と、
その変化がわれわれにもたらしてくれる効用とについて
述べてきました。
そこで今日は、玄米を発芽させる簡単な方法を
紹介しておくことにしましょう。
コメ(玄米)はイネという植物の休眠中の種子ですから、
水と温度と酸素という三つの条件がととのえば自ら発芽します。
そのことを自分の眼で確認するだけなら、
さらに玄米を入れてヒタヒタより少し多めに水を注いでおくと、
夏なら2日ほどで冬でも4〜5日程度で
芽が出ることを見られるはずです。
ところが、食用の目的で、ある分量の玄米を、
しかも時間をそろえて一斉に発芽させるとなると、
やはりそれなりの工夫が必要になってきます。
たとえば、原料のコメを小さな器にたくさん入れますと、
上の層と下の層とでは芽を出す時間に大きな差が出てきますから、
これでは炊いて食べるには不便で仕方ありません。
そのため、1合(0.18L)なり2合なり、
ある分量の玄米を同時に発芽させたいときは、
厚さが1cm以上にならないように
薄く均等に敷き並べてやることが大切になってきます。
また、玄米は27〜30度Cの水に浸漬しておくと
24〜28時間程度で発芽しますが、この水温が30度Cを超えたり、
浸漬時間が30時間を超えたりすると、
だんだん食味が落ちてくる傾向があるため、
この水温と時間の範囲で発芽させる工夫も
必要になってくるでしょう。
そして、何よりも大事なことは、
発芽といっても、モヤシのように芽を長く伸ばすのでなく、
5〜10mmほどチョコンと芽を出したところ
(これをハト胸状といいます)で
水から引き上げてしまうことです。
それは、この時が最も栄養活性した状態になっていて、
それ以上に芽が伸びると、
伸びれば伸びるほどコメの中に蓄えられていた栄養が
自家消費されて減少してしまうことになるからです。
基本的なやり方は、
図で示したごとくきわめて簡単なものですから、
上記の点を頭に置いて、この方法で試してみてください。
ただし、農薬を多量に使用したコメや
通気性のない袋長時間入れられていたようなコメの場合は、
発芽時間が大幅に長くなったり、
発芽する力を失っていることもあります。
●玄米の簡単な発芽法 |
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