蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第120回 (旧暦5月8日)
天然アユと養殖アユは別の魚?

6月はアユの季節。
そこで今日はアユの話を取り上げることにしましょう。
アユは、日本全域および朝鮮半島と中国大陸の一部に分布する
サケ目アユ科の淡水魚で、
古くから塩焼き、背ごし、魚田、煮びたしなどで
日本人の食卓を楽しませてきました。

ところが、そのアユも、
近年ではほとんどの河川がダムや堰堤で寸断され、
海で育った天然アユの遡上が少なくなってしまったのです。
そのため、いま市場に出まわるのは
大方が養殖アユで占められることになり、
都会暮らしの人や若い世代の人たちは、
その養殖アユが本来のアユの味だと思い込んでいるようです。
まあ、それはそれでやむを得ないことではありますが、
この機会に、天然アユと養殖アユとでは、
味や香りはもちろんのこと、
栄養成分にも違いがあるということを
覚えておこうではありませんか。

それでは、天然アユと養殖アユとで
どういう違いがあるかといえば、
養殖アユでは水分値が減少し、
その反面、脂肪値が高くなってくるのです。
その原因は、養殖の場合には
ペレット(人工餌)で飼育するためで、
たとえば燻製などにしてみると、その違いがすぐに解ります。

燻製というのは、塩漬け、風乾、燻煙という工程を経て
水分を抜き、保存性と特有の風味を賦与する食品ですが、
天然アユは水分値が高く(74.6%)脂肪値が低い(5.5%)ため、
そもそも燻製には向かない魚なのです。
ところが、養殖アユの場合には、
その値がサケに等しくなっていて(水分69.3%、脂肪8.4%)、
燻製には格好の肉質に変身してしまっているではありませんか。
また、養殖アユの塩焼きをすると油がボトボト落ちるのも、
やはりペレットによる脂肪増加のせいで、
天然アユでは油が垂れることはありません。
つまり、天然アユと養殖アユとでは、
栄養成分が異なることに伴って
適合する調理法や食べ方まで違ってきているわけですから、
むしろ別々の魚だと
お考えになった方がよいのかもしれませんナ。

アユの燻製

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