第116回 (旧暦5月4日)
タンパク質も脂肪も
発芽によって消化吸収率が向上します
今日はまたコメの話に戻りましょう。
コメが発芽すると、その生理的変化によって
ミネラルやでんぷんの消化吸収効率が
格段に向上するということは、
これまで2回にわたって紹介してきたとおりです。
そこで今回は、コメが発芽したときに、コメに含まれている
タンパク質や脂質(脂肪)の場合はどうなるのか、
そのことについて話しを
進めていくことにしようではありませんか。
玄米には、重量比で7.4%のタンパク質と、
同3.0%の脂質(脂肪)とが含まれています。
これは、71.8%を占めるでんぷんと較べれば、
それほどの数量ではありませんが、
われわれの身体にとって
いずれも大切な栄養素であることにかわりはありません。
それでは、そのタンパク質や脂肪は、
われわれの体内に摂取された後、
どのようなかたちで消化吸収されているかといえば、
タンパク質の場合には消化酵素によって
アミノ酸のかたちにまで加水分解されてから吸収され、
脂肪の場合には脂肪酸として吸収されています。
ならば、コメに蓄えられているタンパク質と脂肪は、
発芽することで何か変化が見られるかというと、
実は、われわれの体内での消化吸収とおなじように、
タンパク質はアミノ酸化して、脂肪は脂肪酸化して、
それぞれ胚芽に吸引されることが解っているのです。
ということは、発芽したコメを食べるときには、
そこに含まれているタンパク質はアミノ酸の状態で、
脂肪は脂肪酸の状態で
ダイレクトに摂取できることになりますから、
でんぷんの場合と同様に「アミノ酸化」「脂肪酸化」という
体内での工程を省略できることになるでしょう。
つまり、発芽したコメの場合には、
ミネラルやでんぷんだけでなく、タンパク質や脂肪についても、
通常のコメを食べるときと較べ、
その消化吸収効率が
グンと向上するということにほかなりません。
そうなると、発芽によって
ナゼこのようなスゴイ変化が起こるのか、
ということを知りたくなりますが、
それについては次回で詳しく説明することにしましょう。
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