第115回 (旧暦5月3日)
靴ひも1本が命を救うこともあります
今日の「仙人歩行術」は、滑りやすい坂道の応急対策術です。
自然のフィールドには、
普通の状態であればどうということはなくても、
雨が降ったりして水分を含んだりすると、
たちまち滑りやすくなって危険になる場所が
いたるところに待ち受けているものです。
とくに、長い年月にわたって
人の足で踏み固められたような坂道は、
乾いているときは運動靴でもラクラク上り下りできますが、
雨などで一旦表層面が軟化すると、
表層と下層との境目が不安定になり、
かなり歩きなれた人でも難渋することが珍しくありません。
また、このような状況は、雨だけではなく、
霜や雪などによっても起こりますし、
ザレ場(砂れき地)や雨裂帯では
天候の良し悪しにかかわらず常についてまわります。
こんなとき、腰をかがめて
おそるおそるヘッピリ腰で足を運んだり、
横向きの姿勢になって下ったりすると、
かえってバランスを崩しやすくなって、
転倒や滑落につながることになりかねないものです。
そこで、こんな場合は、あわてず騒がず、
細めのロープを取り出して
下図のように靴に巻き付けて歩いてみるとヨロシイ。
そうすると、あーらフシギ、
靴に巻いたロープが軟らかな土面に喰い込んで、
驚くばかりのスベリ防止効果を発揮してくれるではありませんか。
このとき使用するロープは、
あまり細かいものだと効果がなく、太すぎると歩きづらいため、
直径4〜5mm程度のものが最適で、
材質は化学繊維のものよりも、
わらや麻、木綿など天然繊維のものがベターです。
また、適当なロープの持ち合わせがないときは、
木の皮や枯れ草を何本か束ねたものを
ロープの替わりに巻きつける方法もありますが、
しっかりした歩行術が身に付けていないうちは、
このような不測の状況に備えて
最初からロープ類を用意していくのが
やはり安全というものでしょう。
ちなみに、仙人の場合には、
一対の太めの丸編み靴ひもを常に持って出掛けます。
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