蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第100回 (旧暦4月18日)
サンショウは小粒でもピリリと辛い

農家を訪ねてみると、
どの家にも必ず植えられている樹が
何種類かあることに気がつかないでしょうか。

植えられている樹木の種類は
地域によって少しずつ異なりますが、
関東地方南部を例にとれば、
ウメ、カキ、ビワ、クリ、ヤブツバキ、
ナツミカン(またはウンシュウミカン、ユズなどの柑橘類)
などといったものがそれにあたります。

これは、本来の農村社会では日常生活に必要な物質は
自給自足でまかなうのが基本であり、
その名残りの姿といっていいでしょう。

つまり、ウメは梅干しを作るために、
カキは柿渋をとるためと食用に、
そしてヤブツバキは油をとるために、
といった目的で植えられていたということです。

実は、こうした習慣は、
なにも農村社会に限ったことではなく、
寺も神社も同様ですし、
現在の市街地でも旧家と呼ばれるような家には
やはりその形跡が残されています。

チャノキやナツメなどもそうした性質の樹木ですが、
もうひとつ、これに類する樹木として
サンショウを忘れるわけにはいきません。

サンショウといえば、
現在では葉や果実を香辛料として
たまに利用するというのが
大方の人の認識なのではないでしょうか。

しかし、サンショウには、リモネンや、
シトロネラールなどの芳香性精油成分と、
サンショオールと呼ばれる辛味成分が含まれており、
大脳を刺激して内臓のはたらきを活発化にするほか、
防腐や殺菌の作用もありますから、
ひと昔かふた昔前までの農山村社会では、
健胃整腸や利尿などに効果のある身近な日常薬として
古くから重用されていたのです。

また、サンショウの木でスリコギを作ったのも、
ただ香りがよいというだけでなく、
サンショウが持つ優れた防腐・殺菌作用によって、
すりおろした生ものが痛まないようにするのが
本来の目的だったのですナ。

実際のところ、このサンショウの防腐効果というのは
ナカナカのもので、夏場に腐敗しやすくなるヌカミソなども、
サンショウの実を軽くひとつかみほうり込んでおくと
ピタリとおさまってしまいますから、
一度試してみるとヨロシイ。

サンショウの花

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