蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第96回 (旧暦4月14日)
文明を誕生させた余剰食物

昨日は、イモ・果実食や畜産食では
文明を育むに至らなかった理由を述べました。
そこで今度は、コメやムギなどの穀食のみが
文明の誕生を可能にしたという、
その理由について書いておくことにしましょう。

コメにしろムギにしろ、またトウモロコシにしろ、
穀類というものは毎年きまった時期に大量の収穫ができるうえ、
その一部を翌年の収穫期まで保存しておくことも可能です。
そのため、一年を通して計画的な生活を営むことができ、
農繁期には生産労働に追われるものの、
農閑期には「食物の確保」という
大きな枷(かせ)から解放されて「喰う」こととは別のことに
多くの時間を費やすことができるものです。
もちろん、最初のころには、
その時間の多くは新しい耕地の開墾や
農具の修理・製造・改良など、
食糧増産のために費やされていたはずですが、
今度はそれによって、さらに多くの食料を、
より安定的に生産・収穫することができるようになってきます。
こうした生活サイクルをつづけていくと、
やがて生産できる食料が自分たちで消費する量よりも多くなり、
いわゆる「余剰食物」を生み出すことになるでしょう。
こうして生み出された余剰食物は、非常時に備えての備蓄食料や、
他の物品との交換などに使用できるばかりでなく、
その一部を家畜の飼料に充当し、
農耕に加えて畜産というもうひとつ別の食糧確保の方法を
可能たらしめ、その食生活はさらに豊かなものになっていきます。

そして、豊かな食料があるところには、
当然ながら「人」も集まってきますから、
その大勢の人たちがさまざまな知恵を出し合い、
その集団社会は、さらに大きく、かつ豊かになってくるのです。
この集団社会の膨張と豊かさとは、なお相乗的に作用しつつ、
しだいに成熟の度合いを高め、
やがて「文明」という花を開かせることになったのでした。
つまり、文明というものは余剰食物によってはじめて生まれ、
育まれ得るものだということですが、
その余剰食物となり得たのは、
コメやムギ、またトウモロコシなどの穀物だけであったのです。

●穀類の栄養成分   (100g中)

栄養成分

穀物名

エネルギー
(kcal)
水分
(g)
たんぱく質
(g)
脂質
(g)
炭水化物 灰分
(g)
無機質 ビタミン
糖質
(g)
繊維
(g)
カルシウム
(mg)
リン
(mg)

(mg)
ナトリウム
(mg)
カリウム
(mg)
B1
(mg)
B2
(mg)
ナイアシン
(mg)
E
(mg)
玄米 351 15.5 7.4 3.0 71.8 1.0 5.3 10 300 1.1 2 250 0.54 0.06 4.5 1.6
白米 356 15.5 8.8 1.3 75.5 0.3 0.6 8 140 0.5 2 110 0.12 0.03 1.4 0.4
小麦 333 13.5 10.5 3.0 89.3 2.1 1.6 24 350 3.1 2 460 0.41 0.10 4.5 1.4
小麦粉 368 14.0 8.0 1.7 75.7 0.2 0.4 23 70 0.6 2 120 0.13 0.04 0.7 0.4
307 13.0 9.9 3.7 63.5 7.0 2.9 21 240 5.0 4 500 0.40 0.50 4.5 -
大麦 339 14.0 10.0 2.8 66.9 3.9 2.4 40 320 4.5 3 480 0.50 0.09 6.0 -
299 13.5 12.7 3.8 57.1 9.1 3.8 20 270 3.5 2 200 0.40 0.10 4.0 -
トウモロコシ 350 14.5 8.8 5.0 68.6 2.0 1.3 5 290 2.3 3 290 0.30 0.10 2.0 -
311 13.0 9.3 4.8 65.3 8.3 3.3 33 330 3.5 2 360 0.40 0.10 4.0 -
ライ麦 333 12.5 12.7 2.7 88.5 1.9 1.7 38 330 3.0 2 500 0.47 0.20 1.7 -

「四訂日本食品標準成分表」準拠

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