蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第94回 (旧暦4月12日)
使い残しのワサビ

いま、奥多摩あたりの谷では
ワサビ田のワサビが白い花を咲かせています。
ワサビは、水温5〜18℃の清流ぎわに生える
アブラナ科の多年草で、根茎を香辛料として利用しますが、
花期の花茎や若葉を「花ワサビ」と呼び、
近年では山菜として利用する人もふえてきました。
食べ方は、あえ物やおひたし、
浅漬けなどにするのが一般的ですが、
信州松本の駅前には
ワサビの葉のてんぷらをのせてくれるソバ屋があって、
いつも旅人や地元の人たちで賑わっています。

ところで、ワサビといえば、
生ワサビを買ったりもらったりした折、
最初は刺身などに使ったものの残りを冷蔵庫に納っておいて、
結局はそのまましなびさせてしまった、
というような経験はないでしょうか。
ワサビの根は、高価なわりに用途が限られているために、
後生大事に扱いながら、
ついついこんな結果になってしまうことが少なくないものです。
そこで、こんなときは、
使い残しのワサビをホワイトリカーに漬け込んで
「ワサビ酒」を作ってみてはどうでしょうか。
使い残しだと1.8Lの酒量には足りませんが、
1Lでも0.8Lでも構いませんし、
とりあえず1.8Lのビンに漬け込んでおいて
後日不足分を漬け足してもいいのです。

ワサビの根には、
カラシ油配糖体のシニグリンなどが含まれていて、
抗菌防腐作用や鎮痛作用がありますから、
食欲増進や疲労回復とともに
健胃整腸、食あたりなどにも効果のある薬酒となります。
また、神経痛やリウマチ、関節痛などに悩まされている人なら、
すりおろしたワサビを薄く布や紙に塗り付けて患部に貼ると
痛みがやわらぐため、こういう用途に利用する方法もあります。
ただし、皮ふに張る場合は
長時間貼っておくと皮ふが負けますから、
10〜15分で取り外してください。
なお、市販されている粉ワサビ類は
ワサビダイコンの粉を着色したもので、
香りも本物のワサビには遠く及びませんし、
薬効も期待できません。

花ワサビ

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